葬儀費用の補助金「葬祭費」は2万円から7万円|47都道府県の後期高齢者医療と、政令市・東京23区の国保を公式ページで比べた
親の葬儀のあとに受け取れる「葬祭費」は、全国どこでも同じ額ではありません。当サイトが公式ページと条例で確かめた範囲では、いちばん少ないところは2万円、いちばん多いところは7万円でした。しかも、親が75歳以上なら、見るべきなのは市の国民健康保険ではなく、県ごとの後期高齢者医療の額です。この記事は、47都道府県の広域連合と、政令指定都市20市・東京23区の額を一覧にして、申請の前に確かめることを整理します。
- 75歳以上の人が亡くなったときの葬祭費は、県ごとに決まります。5万円が27都府県、3万円が11道県、2万円が9県です
- 74歳以下で国民健康保険だった場合は、市区町村ごとに決まります。東京23区は7万円、政令市は5万円が15市、3万円が4市、2万円が1市です
- 申請しないと出ません。期限は2年です。火葬だけにした場合に出るかどうかは、自治体によって書き方が分かれます

葬祭費は、亡くなった人の保険で3つに分かれる
「葬儀費用の補助金」と呼ばれているものの正体は、健康保険から出る給付です。亡くなった人がどの保険に入っていたかで、名前も額も申請先も変わります。
- 75歳以上(後期高齢者医療)… 葬祭費。額は都道府県の広域連合が決める。申請は市区町村の窓口
- 74歳以下で国民健康保険… 葬祭費。額は市区町村が条例で決める
- 会社の健康保険(協会けんぽなど)… 埋葬料。5万円
親が75歳以上で亡くなったなら、当てはまるのは1つ目です。「〇〇市 葬祭費」で調べて出てくる国保の額と、実際に受け取る額が違うことがあります。たとえば東京23区は、国保の葬祭費は7万円ですが、後期高齢者医療の葬祭費は東京都の広域連合の5万円です。
どちらの葬祭費も、法律は「条例の定めるところにより行う」としていて、額は法律に書かれていません(国民健康保険法58条、高齢者の医療の確保に関する法律86条)。だから自治体で差が出ます。
額の分布:2万円から7万円まで

47の広域連合と、政令指定都市20市・東京23区の公式ページ・条例を、2026年10月8日に確かめました。
厚生労働省の統計でも、額に幅があることが分かります。国民健康保険事業年報(令和6年度)では、市町村の国保の葬祭給付は15万5,952件、約69億8,000万円でした。1件あたりに直すと約4万4,700円です(年報の件数と給付額から当サイトが計算)。5万円より少ない自治体が、全国には相当数あるということです。
75歳以上の親が亡くなった場合:都道府県ごとの額
後期高齢者医療の葬祭費は、都道府県ごとの広域連合が条例で決めています。同じ県の中なら、どの市町村に住んでいても基本の額は同じです。
- 5万円(27都府県)… 青森県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、山口県
- 3万円(11道県)… 北海道、岩手県、富山県、奈良県、和歌山県、島根県、広島県、香川県、高知県、福岡県、佐賀県
- 2万円(9県)… 鳥取県、徳島県、愛媛県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
2万円の9県は、すべて中国・四国・九州・沖縄です。中部地方より東で5万円に届かないのは、北海道・岩手県・富山県の3つだけでした。
額は変わることがあります。香川県の広域連合は、2018年4月から5万円を3万円に下げたと公式ページに書いています。愛媛県の広域連合は、2万円にした理由を「県内各市町の国民健康保険での葬祭費の額(1万円~3万円)を参考に」したと説明しています。葬祭費は保険料でまかなうので、額を上げれば保険料も上がる、という関係にあります。
市区町村が独自に上乗せしている場合もあります。東京都の広域連合は、市区町村が単独の事業として上乗せできるとしています。世田谷区は、広域連合の5万円に区の葬祭給付金2万円を足して、合わせて7万円になると公式ページに書いています。上乗せがあるかどうかは、親が住んでいた市区町村の後期高齢者医療の窓口で確かめてください。
74歳以下で国保だった場合:政令市と東京23区の額
国民健康保険の葬祭費は、市区町村ごとに条例で決まります。
- 7万円… 東京23区のすべて(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区)
- 5万円(15市)… 仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市
- 3万円(4市)… 札幌市、広島市、北九州市、福岡市
- 2万円(1市)… 熊本市
政令市と23区以外の市町村は、今回の一覧に入っていません。親が住んでいた市町村の国保のページで確かめてください。
会社の健康保険だった場合:埋葬料は5万円
親が会社の健康保険に入っていた場合は、国保の葬祭費ではなく、健康保険の「埋葬料」になります。協会けんぽの場合は次のとおりです。
- 埋葬料… 亡くなった人に生計を維持されていた人に、5万円
- 埋葬費… 埋葬料を受けられる人がいないとき、実際に埋葬を行った人に、5万円の範囲内で実費
- 家族埋葬料… 扶養されていた家族が亡くなったとき、被保険者に5万円
気をつけたいのは、退職して国保に移ったばかりの人です。会社の健康保険をやめてから3か月以内に亡くなった場合は、前の健康保険から埋葬料を受けられます(健康保険法105条)。その場合、多くの自治体は「国保からは出ません」と案内しています。一方で、練馬区と静岡市は、どちらから受けるかを選べると書いています。二重には受け取れません。
申請の前に確かめる6つのこと
葬祭費は、死亡届を出しても自動では振り込まれません。申請が要ります。

- 受け取れるのは、葬祭を行った人(喪主)。亡くなった人の家族なら誰でもよい、というわけではない
- 喪主を確かめる書類として、葬儀の領収書や会葬礼状を求める自治体が多い。大田区や世田谷区などは「葬儀代金の領収書の宛名の方」としている
- 期限は2年。多くの自治体は「葬祭を行った日の翌日から2年」と案内している
- 申請先は、国保も後期高齢者医療も、亡くなった人が住んでいた市区町村の窓口
- 川崎市、新潟市、名古屋市、品川区、目黒区、杉並区、練馬区は、オンラインでの申請を案内している
- 千代田区は、亡くなった人の国保の保険料に未納があると利用できないと書いている
領収書の宛名を誰にするかは、葬儀社に支払う前に決めておいてください。喪主と支払った人の名前が違うと、申請のときに説明が要ることがあります。
火葬だけ(直葬)でも出るかは、自治体で分かれる
通夜や告別式をせず、火葬だけにする家が増えています。その場合に葬祭費が出るかどうかは、自治体によって書き方が違いました。
- 出ると明記している… 仙台市(「葬儀・葬式を行っていない場合は、火葬を執り行った方に支給されます」)、相模原市、岡山市、豊島区
- 火葬を「葬祭」に含めている… 横浜市、熊本市、江東区
- 追加の書類が要る… 中野区(申立書など)
- 出ないと明記している… 静岡県富士宮市(「以下の場合は、葬祭費の支給を受けることができません。火葬のみの場合。」)
今回調べた政令市と23区の中に、「火葬だけでは出ない」と書いている自治体はありませんでした。ただ、ページに何も書いていない自治体のほうが多数です。火葬だけにした場合は、申請に行く前に、窓口へ電話で確かめてください。火葬の領収書や火葬許可証は、捨てずに取っておきます。
葬儀の形ごとの費用は葬儀費用の相場はいくらか|喪主2,000人の実額、「家族葬50万円」が120万円になる仕組み、自治体の規格葬儀に書きました。
相続放棄をしていても、申請はできる
葬祭費は、亡くなった人の財産ではなく、葬祭を行った人に出る給付です。東京都小金井市は、後期高齢者医療の案内で、相続放棄の手続きを家庭裁判所で進めている人も「葬祭費の支給申請はしていただけます」と書いています。
ただし、これを一般的な決まりとして書いた国の資料は、当サイトでは見つけられませんでした。相続放棄をする予定がある人は、申請の前に窓口と、放棄の手続きを頼んでいる専門家に確かめてください。葬儀費用を故人の預金から払ってよいかどうかは葬儀費用は誰が払い、どこまで引けるのか|故人の預金・相続税・相続放棄に、相続放棄の期限は相続放棄したら実家はどうなるか|放棄の申述は年32万3,524件。住んでいた人は、引き渡すまで管理が残るに書きました。
生活保護を受けていた人が亡くなった場合は、国保の葬祭費ではなく、生活保護の葬祭扶助の対象になります。
進める順番
- 亡くなった親の保険証や資格確認書で、入っていた保険を確かめる
- 75歳以上なら県の広域連合の額、74歳以下の国保なら市区町村の額、会社の健康保険なら埋葬料を見る
- 葬儀の領収書(宛名は喪主)と、会葬礼状か火葬の領収書を取っておく
- 火葬だけにした場合や、退職から3か月以内の場合は、窓口に電話で確かめる
- 市区町村の窓口で申請する。保険証を返す手続きと同じ日に済ませると早い
親が亡くなったあとの手続き全体の期限は親が亡くなったあとの手続きと期限の一覧|7日・14日の届出から、3か月・10か月・3年まで。取り返しがつかないのは3か月にまとめています。
葬儀のあとにもらえるお金のこと、調べたので共有します。
- 健康保険から「葬祭費」が出ます。額は住んでいた場所で違い、2万円から7万円です
- 75歳以上の場合は、市ではなく県ごとに額が決まっています
- 申請しないともらえません。期限は葬儀から2年です
- 受け取れるのは喪主です。葬儀の領収書の宛名が喪主になっているか確認が要ります
- 領収書と会葬礼状は、捨てずに取っておいてもらえますか
よくある質問
健康保険から出る葬祭費で、2万円から7万円です。75歳以上の人が亡くなった場合は都道府県ごとに決まり、5万円が27都府県、3万円が11道県、2万円が9県です。国保の場合は市区町村ごとで、東京23区は7万円、政令市は5万円が多数です。会社の健康保険の埋葬料は5万円です。
2年です。多くの自治体は「葬祭を行った日の翌日から2年」と案内しています。過ぎると時効で受け取れません。申請は、亡くなった人が住んでいた市区町村の窓口でします。
葬祭を行った人(喪主)です。自治体は、葬儀の領収書や会葬礼状で喪主を確かめます。領収書の宛名の人に支給する、と書いている区もあります。
自治体によります。仙台市、相模原市、岡山市、豊島区は出ると明記しています。静岡県富士宮市は出ないと明記しています。ページに書いていない自治体が多いので、申請の前に窓口へ確かめてください。
出典
- 47都道府県の後期高齢者医療広域連合の葬祭費のページ・条例、東京都後期高齢者医療広域連合「制度の概要 令和8・9年度版」(2026年10月8日確認)
- 政令指定都市20市と東京23区の国民健康保険の葬祭費のページ、静岡市「令和8年度版 国保のしおり」、横浜市・葛飾区・福岡市の国民健康保険条例(2026年10月8日確認)
- 全国健康保険協会「埋葬料・埋葬費」、国民健康保険法58条・110条、高齢者の医療の確保に関する法律86条・160条、健康保険法100条・105条・193条
- 厚生労働省「国民健康保険事業年報」令和6年度(葬祭給付の件数・給付額)
- 香川県後期高齢者医療広域連合「葬祭費」、愛媛県後期高齢者医療広域連合「よくある質問」、世田谷区・小金井市・富士宮市の葬祭費のページ

