実家がごみ屋敷になっていたら|業者より先に、自治体に相談する理由
本ページはプロモーションが含まれています。
久しぶりに帰った実家が、床の見えない状態になっていた。業者を探す前に、知っておいてほしいことがあります。費用の決まり方と、自治体が何をしてくれるか、そして本人の同意がなぜ要るかです。
- 片付け費用に公的な相場統計はありません。量・動線・分別の手間で決まります
- 「行政に強制撤去される」は、直近5年で全国4件です。自治体の対応は調査・助言・支援が中心です
- 費用は本人負担が原則ですが、自治体に相談すると支援につながります。許可業者の紹介や、地域の片付け支援があります

実家じまい全体の流れと、先に確かめる期限は実家じまいは何から始める?5つの段階と、かかるお金の全体像にまとめています。
費用に公的な相場統計はない
「ごみ屋敷 片付け 費用」で検索すると金額が並びますが、どれも事業者が自社の実績から出した目安です。国や自治体の統計はありません。
金額を動かすのは、次の4つです。
- 量。トラック何台分か。同じ間取りでも、天井まで積まれているか腰の高さかで倍以上違います
- 動線。玄関から中に入れるか。階段しかないか。道路にトラックを着けられるか。入れない家は、まず入れる状態にする作業から始まります
- 分別の手間。生ごみと紙と家電が混ざっていると、仕分けに人の時間がかかります。費用の中心は処分費ではなく人件費です
- 別料金になるもの。家電4品目、消火器、灯油、注射器などの医療廃棄物
一軒家かワンルームかで金額が決まるわけではありません。ワンルームでも天井まで積まれていれば一軒家の空き部屋より高くなります。見積もりは、必ず現地を見てもらってからです。電話だけの概算は、当日に増えます。
費用の考え方は遺品整理の費用はいくら?相場より先に見るべき3つの内訳と同じです。人が動く時間が費用になります。
「行政に強制撤去される」は、年に1件程度
まず、この不安を数字で解いておきます。
環境省は令和6年度に「ごみ屋敷」に関する調査を行い、令和7年3月に報告書を公表しました。全国1,741市区町村すべてが回答しています(回答率100パーセント、令和6年11月末時点)。
- 直近5年度にごみ屋敷事案を認知していると答えた市区町村は672(38.6パーセント)
- ごみ屋敷に対応する条例等を制定済みなのは90市区町村(5.2パーセント)。制定予定なしが1,589(91.3パーセント)
- 条例を持つ90市区町村が直近5年に適用した措置は、調査541件、助言・指導391件、支援145件、勧告13件、命令9件、代執行4件
代執行は、5年間で全国4件です。条例のある市の例として、横浜市は区の福祉保健課が相談を受け、本人の同意のもとでごみの排出を支援しています(横浜で実家を片付けるなら|燃やすごみは自分で運べば1キロ13円。粗大ごみは1回9個まで、業者は許可業者82社から)。年に1件程度です。勧告13件、命令9件も、調査や助言・指導の数百件に比べれば、ごくわずかです。
注意:条例に「代執行」を書いている自治体は、制定済み90のうち45(50.0パーセント)あります。書かれていることと、実際に使われることは別です。実態は、調査して、助言して、支援する。そういう対応です。

自治体に相談すると、何が起きるか
大阪市も、平成25年12月の条例にもとづいて100万円を限度とする経済的支援を定めています(非課税、不動産を所有していない、資産150万円以下などの要件があります。大阪で実家を片付けるなら|自分で運べば1トン9,000円。粗大ごみ・自己搬入・許可業者271社の使い分け)。
名古屋市は、平成30年4月から「住居の堆積物による不良な状態の解消に関する条例」を施行しています(名古屋で実家を片付けるなら|2026年10月1日から粗大ごみの線引きと料金が変わる。許可業者は「どこから頼めるか」で選ぶ)。
京都市の例が分かりやすいので、そのまま書きます。
京都市は平成26年11月に「京都市不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関する条例」を制定しました。対象は「衛生面、防災面、防犯面で、住民の方の生活環境に大きな影響を及ぼしている状態」です。屋外に積み上げた物が道路にはみ出して通行の妨げになっている、玄関先に大量の紙類が放置されて火災の危険が高い、といった例が挙げられています。
流れはこうです。
- 職員が状況を調査する
- 区役所で関係部署・関係機関が対策会議を開き、判定する
- 判定されたら、対応方針を作って計画的・継続的に取り組む
- 本人が病気・経済的困窮・医療や介護が必要な状態なら、福祉の施策につなぐ
市は基本方針として「不良な生活環境(ごみ屋敷)の解消は、できる限りその状態を生じさせたご本人が行うこと」としたうえで、本人だけでは難しい場合に「『人』に寄り添った支援を行い」解消を目指すと書いています。
実績も公表されています。条例制定から令和7年3月末までの累計で、相談があり対策会議で検討したものが483件。そのうちごみ屋敷と判定したものが332件、清掃の実施など具体的な支援につながったものが323件、解消したものが302件です。
注意:「解消するだけでは、再び同じ状態に戻る」と市自身が書いています。片付けたあとの生活の支え(見守り、福祉)まで含めて考える必要がある、ということです。
費用は本人負担が原則。ただし支援がある
京都市のページには、こう明記されています。「不良な生活環境(ごみ屋敷)の解消のために費用を要する場合は、原則としてご本人に負担いただく必要があります」
自治体が無料で片づけてくれるわけではありません。ただし、環境省の調査には、条例で「支援」を規定している25市区町村の具体例が載っています。
- 廃棄物の収集、運搬、処分の支援
- 堆積者から撤去の同意を得たものの、経済的理由から撤去できない場合、審議会に諮問し、その答申を踏まえて経済的な支援
- 地域住民で行う片付け支援
- 清掃用品の支給、ごきぶり・はえ・ねずみの駆除用具の支給
- 生活保護や介護保険の案内
事案が改善した理由として、同じ調査は「収集運搬許可業者を紹介した」「地域の方や原因者の親族による清掃」を挙げています。自治体に相談すると、頼んでよい業者を教えてもらえることがある、ということです。
東京都内では、足立区が1世帯合計100万円を上限に区が直接片付ける支援を定めています。東京23区の区ごとの条例と、大量のごみを区に出す方法は東京で実家を片付けるなら|家庭のごみを集めるのは「区」。23区の臨時ごみ、ごみ屋敷の条例と支援、業者に頼む前に聞くことにまとめました。
高齢者のごみ出し支援制度を持つ自治体もあります。戸別収集や声かけを組み合わせるもので、片づけたあとの再発を防ぐ側の制度です。
本人の同意が、法律上も核心になる
家の中の物は、本人の財産です。子であっても、勝手に捨てることはできません。
これは気持ちの問題だけではありません。環境省の調査には、ごみ屋敷の堆積物が廃棄物処理法上の「廃棄物」にあたるかを判断した102事例が載っています。廃棄物と判断されたのが92件(90.2パーセント)、有価物と判断されたのが10件(9.8パーセント)でした。そして、判断で最も重視される要素は「占有者の意思」でした。
本人が「ごみではない」と言えば、行政ですら簡単には廃棄物と扱えない。それが法律の建て付けです。だから条例のある自治体でも、代執行より先に、本人への働きかけと支援に時間を使います。
子ができることは、捨てることではなく、本人が同意できる状態を作ることです。貴重品と書類の場所を一緒に確かめる、明らかに腐っているものから本人に確認して出す。順番は生前整理は片付けから始めない|親が決められるうちに残す3つの書類と同じです。
なお、廃棄物処理法の第5条第1項は、建物の占有者に「清潔を保つように努めなければならない」と定めています。努力義務であって、違反に罰則はありません。法律が直接に片付けを強制する仕組みは、ここにはないということです。
業者に頼むときの条件
家庭から出る物は一般廃棄物です。運んで処分できるのは、実家のある市町村の一般廃棄物処理業の許可を持つ業者か、市町村から委託を受けた業者だけです(廃棄物処理法第7条第1項)。産業廃棄物処理業や古物商の許可では足りません。確かめ方は遺品整理の業者はどう選ぶ?ランキングより先に見る許可と書面にまとめました。
ごみ屋敷の場合、さらに3つ確かめてください。
- 現地を見たうえで見積もりを出しているか。電話や写真だけの概算は、当日「思ったより多い」で増えます
- 追加料金が発生する条件が書面にあるか。トラックに載り切らなかった場合、分別に時間がかかった場合の扱い
- 貴重品・書類・現金が出てきたときの扱いが決まっているか。ごみと一緒に捨てられる事故が、いちばん多いところです。督促状や借用書も同じで、借金を調べる手がかりになります(親の借金を調べる方法|信用情報3機関の開示は合計6,080円。ただし「載っていない」は「借金がない」ではない)

「ぽいみつ」は、ゴミ屋敷清掃・空き家の片付け・不用品回収の見積もりを、1回の入力で最大5社に依頼できる無料の一括見積もりサービスです。上のチェックリストを手元に置き、現地を見たうえでの見積もりを並べて比べてください。
自分たちでやってはいけない場面
費用を抑えたくて、家族だけで始める人がいます。次の場合は、やめてください。
- 積まれた物が崩れる高さになっている。下敷きになる事故が起きます
- 害虫や、ねずみのふんが見える。感染症の危険があります
- 腐敗した食品や、体液のしみがある。特殊清掃の領域で、一般の片付けとは装備も処理も違います
- 注射器や薬品がある。医療廃棄物や危険物として、別の処理が要ります
特殊清掃は、片付けとは別の仕事です。孤独死の現場や、腐敗が進んだ状態の原状回復を扱います。ごみ屋敷でも、食品の腐敗や動物の死骸があれば、その部分は特殊清掃の作業になります。見積もりのとき、どこまでが片付けで、どこからが特殊清掃かを分けて聞いてください。特殊清掃をした家は、あとで売るときに告知の対象になります。領収書と作業内容を残す理由は親が家で亡くなった実家は「事故物件」になるのか|告知が要る死・要らない死と、訳あり物件買取の使いどころに書きました。特殊清掃の費用の実額(孤独死保険の支払データ)と、誰が払うかは特殊清掃とは何をするのか|費用の実額、誰が払うか、頼む前に確かめる8つのことに書きました。
進める順番
- 本人と話す。捨てる話ではなく、困っていることを聞く
- 実家のある自治体の担当課に相談する。条例の有無、支援制度、許可業者の紹介。環境省の調査では、条例を所管しているのは廃棄物部局が最も多いので、ごみの担当課から入ります
- 貴重品・書類・現金の場所を、本人と一緒に確かめる
- 自分たちで出せる量を、粗大ごみや持ち込みで先に出す。業者に頼む量が減ります
- 許可のある業者に、現地で見積もりを頼む。2社以上
- 片づけたあとの支えを決める。見守り、ごみ出し支援、福祉
2番を飛ばして5番に行かないでください。費用は本人負担が原則ですが、相談すると、頼んでよい業者と、使える支援が分かります。
実家のごみのこと、調べたので共有します。
- ごみ屋敷の状態なら、業者より先に市区町村の担当課に相談します
- 環境省の調査では、自治体の対応は調査・助言・支援が中心です(強制的な片付けは直近5年で全国4件)
- 費用は本人負担が原則ですが、許可業者の紹介や片付けの支援につながります
- 家の中の物は親の財産なので、勝手に捨てません
- 崩れそう、虫がわいている、腐っているものがあるときは、家族だけで始めないほうがいいそうです
- まず市役所に、一緒に相談しに行きませんか
よくある質問
公的な相場統計はありません。金額は量、動線(家に入れるか、階段か、トラックを着けられるか)、分別の手間、別料金の品目で決まります。一軒家かワンルームかでは決まりません。現地を見た見積もりを2社以上から取ってください。電話だけの概算は当日に増えます。
原則として費用は本人負担です。京都市はそう明記しています。ただし、自治体に相談すると、許可のある収集運搬業者の紹介、地域住民による片付け支援、経済的な支援(審議会の答申にもとづくもの)、生活保護や介護保険の案内につながることがあります。無料ではありませんが、独りで探すより安全で安くなります。
現実的ではありません。環境省の調査では、条例による代執行は直近5年で全国4件です。しかも廃棄物かどうかの判断で最も重視されるのは「占有者の意思」で、本人が「ごみではない」と言えば行政も簡単には動けません。自治体が時間を使うのは、本人への働きかけと支援です。子ができるのは、本人が同意できる状態を作ることです。
違います。特殊清掃は、孤独死の現場や腐敗が進んだ状態の原状回復を扱う仕事で、装備も処理も一般の片付けと別です。ごみ屋敷でも、腐敗した食品、動物の死骸、体液のしみがあれば、その部分は特殊清掃の作業になります。見積もりのとき、どこまでが片付けでどこからが特殊清掃かを分けて聞いてください。
自治体の担当課に、こちらから連絡してください。苦情が自治体に届いていれば、すでに調査や助言が始まっている可能性があります。条例のある自治体は、調査→助言・指導→勧告→命令の順に段階を踏みます。家族が先に連絡し、本人の状況(病気、独居など)を伝えると、支援の側から動いてもらえます。放置して勧告まで進むと、費用も関係も重くなります。
出典
- 環境省環境再生・資源循環局廃棄物適正処理推進課「令和6年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」(令和7年3月、全国1,741市区町村・回答率100パーセント)
- 京都市「不良な生活環境(ごみ屋敷)の解消のために」(2025年10月8日更新)/京都市不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関する条例(平成26年11月制定)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第5条第1項、第7条第1項
- 環境省「行政処分の指針について」(令和3年4月14日 環循規発第2104141号)

