葬儀費用の相場はいくらか|喪主2,000人の実額、「家族葬50万円」が120万円になる仕組み、自治体の規格葬儀
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親が亡くなって最初に払う大きなお金が、葬儀費用です。「相場はいくらか」を検索すると、100万円とも200万円とも出てきます。答えは「総額で見ないと分からない」です。広告の金額には、宗教者への費用、火葬料、飲食、返礼品が入っていないことが多く、そこで数字が動きます。この記事は、喪主2,000人が実際に払った総額、国民生活センターに寄せられた「家族葬50万円が120万円になった」相談、自治体の規格葬儀・区民葬儀を、一次資料でまとめます。誰が払うか・相続税から引けるかは葬儀費用は誰が払い、どこまで引けるのか|故人の預金・相続税・相続放棄に分けてあります。
- 喪主2,000人の総額の平均は96.73万円。内訳は基本料金72.02万円、飲食11.67万円、返礼品13.03万円で、お布施は含みません(鎌倉新書、2026年)
- 形式別では、直葬49.56万円、一日葬74.43万円、家族葬96.39万円、一般葬122.01万円。喪主の47.0%が家族葬を選んでいます
- 国民生活センターへの相談は年900件前後で、2025年度は52.6%が料金の相談。トラブルになった契約の平均は約109万円で、家族葬の平均より高い
- 自治体の制度がある。大阪市の規格葬儀は祭壇等が20万4,270円と35万6,180円、東京23区は区民葬儀券と火葬場利用の助成2万7,000円

相場の実額:総額96.73万円、内訳は基本料金・飲食・返礼品
「相場」の根拠として使えるのは、喪主に実際に払った額を聞いた調査です。鎌倉新書が2026年2月27日〜3月3日に、直近2年以内に喪主を経験した40歳以上の2,000人に行った「第7回 お葬式に関する全国調査」では、葬儀費用の総額の平均は96.73万円でした。前回(2024年)の94.21万円から約2.5万円上がっています。
内訳はこうです。
- 基本料金… 72.02万円。葬儀社に払う、式場・祭壇・棺・搬送・安置・人件費などの一式
- 飲食費… 11.67万円。通夜振る舞い、精進落とし
- 返礼品費… 13.03万円。会葬御礼、香典返し
お布施(宗教者への費用)は、この総額に含まれていません。同じ調査で、喪主が困ったことの1位は「お布施と作法」でした。お布施の目安と表書きは離檀料は払わないといけないのかに書いたとおり、公的な基準はなく、寺に直接聞いてよいものです。
注意が1つあります。この調査は「いい葬儀」を運営する会社の調査で、回答者はインターネットモニターです。2022年に日本消費者協会が公表した第12回「葬儀についてのアンケート調査」(2021年8〜12月)では、葬儀一式・飲食接待・寺院への費用を合わせた平均が161.9万円と、寺院費用を含むぶん高くなっています。「葬儀費用の平均」は、何を含めるかで100万円前後にも160万円前後にもなる、と覚えてください。
形式別:直葬50万円、一日葬74万円、家族葬96万円、一般葬122万円
同じ調査の形式別の総額です。
- 直葬・火葬式… 49.56万円。式をせず火葬だけ
- 一日葬… 74.43万円。通夜をせず、葬儀・告別式を1日で
- 家族葬… 96.39万円。親族など身内だけで。喪主の47.0%が選択
- 一般葬… 122.01万円。知人や勤務先の人も参列
前回調査と比べて家族葬はわずかに減り、直葬・火葬式と一日葬が増えています。「家族葬」は人数の話であって、安さの保証ではありません。国民生活センターも、「家族葬」「一日葬」は葬儀社によって取り扱い範囲が異なり、消費者のイメージと相違することがトラブルの要因の一つだ、と書いています。

「家族葬50万円」が120万円になる仕組み:国民生活センターの相談事例
国民生活センターは2026年6月3日、「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル−『家族葬だから安い』と思っていませんか?−」を公表しました。全国の消費生活センターへの葬儀サービスの相談は年900件前後で、2024年度は978件、2025年度は917件。「高価格・料金」に関する相談の割合は2025年度に52.6%で、増加傾向です。トラブルになった契約の平均金額は年々上がり、2025年度は約109万円でした。
挙げられている3つの事例を、そのまま要約します。
- 事例1(2026年1月受付・60歳代男性)… 母が施設で亡くなり、ネット広告の「50万円のプラン」で申し込み、葬儀場まで搬送してもらった。翌日の打ち合わせで120万円のプランを提案され、見直したいと言うと「葬儀をしないなら搬送費用として20万円を請求する」と言われた。せかされて約120万円で署名。葬儀後に広告を見直すと「ご依頼いただけない場合は搬送にかかった費用はいただきません」と書いてあった
- 事例2(2025年5月受付・60歳代男性)… チラシに「最安約10万円、一日葬は約30万円」。電話で2度確かめて依頼したが、翌日80万円以上の見積もり。遺体を引き取ってもらった後なのでどうしようもないと思い、約80万円で契約。請求書にはマイク使用料、花や仏具の搬入搬出代、仏衣を着せる費用が入っていた。チラシには仏具・仏衣は含まれると書いてあった
- 事例3(2025年11月受付・60歳代女性)… 「家族葬が50万円」の表示を見て訪問すると、十数種類のプラン表。低価格のプランを申し出ると「それは無宗教の方向けのプランだ。宗教関連の方にはこのプランになる」と140万円のプランを案内された。見積書には「プラン名と一式」だけで明細がなく、会食などの追加で総額200万円超
3つに共通するのは、①遺体の搬送が先に済んでいて断れない、②広告の金額に含まれないものが後から出る、③見積書に明細がない、の3点です。国民生活センターは「広告に記載された料金と実際に請求される料金との乖離が大きくトラブルになっている事例も見受けられる」として、全日本葬祭業協同組合連合会に、見積書を渡して正確な請求金額を伝えるよう要望しています。

広告の金額に含まれないもの
跳ね上がる仕組みは、「含まれないもの」の一覧を見れば分かります。大阪市の規格葬儀(後述)の案内には、規格に含まれていない経費が明記されています。
- 読経料(宗教者費用)
- 遺影写真(写真引伸、額)
- 祖供養、飲食費
- 式場使用料
- 会葬礼状等
- 冷却剤(ドライアイス等)
- 霊柩自動車等・マイクロバス・タクシー
- 火葬料
民間の「家族葬○○万円」のプランも、構造は同じです。プランに含まれるのは祭壇・棺・搬送・安置・人件費の一部で、宗教者への費用、火葬料、式場使用料、安置日数の超過分、飲食、返礼品は別に積み上がります。喪主調査の内訳で見れば、飲食11.67万円+返礼品13.03万円だけで総額の4分の1です。
見積もりを取るときは、次の3つを確かめてください。
- 広告の金額に、何が含まれ、何が含まれないか。含まれないものを書き出してもらう
- 参列者の人数で、飲食と返礼品を見積もる。「家族葬」でも人数で変わる
- 安置の日数。火葬場の空き待ちで日数が延びると、安置料と冷却剤が日割りで増える。東京都区部の冬は火葬待ちが起きることが知られています
自治体の制度:大阪市の規格葬儀、東京23区の区民葬儀
自治体が「この内容ならこの金額」と決めている葬儀があります。
大阪市の規格葬儀は、「儀式の尊厳をたもちつつ、その出費を少なくするために」市が設けた制度で、市内66の葬儀業者を取扱指定店にしています。規格は2種類です。
- 百合… 大人356,180円(税込)、小人335,170円。門前飾付・祭壇飾付・焼香受所・枕元飾・葬儀具・放送設備・受付用テント・納棺と飾付の社員、式次社員まで
- 桔梗… 大人204,270円(税込)、小人183,260円。祭壇飾付と葬儀具を簡素にしたもの
含まれないのは、上に挙げた読経料・遺影・飲食・式場使用料・霊柩車・火葬料などです。対象は大阪市民で、指定店に「規格葬儀を希望」と申し出て、必ず見積書を受け取るよう案内されています。仏式が基本で、神式・キリスト教は指定店に相談。一部を使わなくても減額はされません。市は「『大阪市』を冠する葬儀サービスについて、大阪市役所が関係するものは『大阪市規格葬儀』のみです」と注意しています。
東京23区の区民葬儀は、全東京葬祭業連合会に加盟する取扱業者が行う葬儀で、祭壇・霊柩車・火葬料金・遺骨収納容器の4項目に区民葬儀券の料金が決まっています。令和8年4月1日からは、区民葬儀を利用して特別区が指定する民間火葬場(町屋・落合・代々幡・四ツ木・桐ヶ谷・堀ノ内)を使った人に、大人27,000円・小人15,000円の助成金が出ます(火葬料の最低料金87,000円を払った場合、死亡時に23区内に住民登録があること、申請は火葬日の翌日から2年)。料金表と取扱店は各区のサイトにあります。
規格葬儀・区民葬儀は「安い葬儀」ではなく、「祭壇などの料金が先に決まっている葬儀」です。含まれないものは民間と同じなので、総額は自分で足す必要があります。それでも、祭壇の値段が交渉の余地なく決まっているぶん、事例3のような「プラン表を十数種類出されて上に誘導される」ことが起きにくい。
見積書で確かめる8つのこと
国民生活センターの消費者へのアドバイスは3つです。①葬儀の希望を考えて前もって情報収集し、葬儀社に事前相談しておく、②葬儀社との打ち合わせは親族や第三者など複数で行う、③見積書は必ず受領し、内容(明細)をよく確認する。
喪主調査では、63.8%が事前準備なしで喪主になり、87.1%が葬儀社を比較せずに決めていました。比較しないのは、遺体の搬送を急ぐからです。親が入院した時点、施設に入った時点で、葬儀社を1社でも決めておくと、搬送を頼んだ相手にそのまま流されることが減ります。親が元気なうちに決めておくことの中身は生前整理は片付けから始めない|親が決められるうちに残す3つの書類に書きました。

見積書の8項目は、1社だけ見ても高いか安いかが分かりません。心に残る家族葬は株式会社メルメクスの葬儀サービスで、全国3,500か所以上の葬儀場に対応し、資料請求は無料です。一般に申し込める最も安いプランは直葬の14万3,000円で、請求額が見積額を上回った場合は全額返金するとしています(いずれも公式サイト、2026年10月14日確認)。資料を取り寄せても、申し込む義務はありません。
払ったあと:健康保険から2万〜7万円、相続税から引ける範囲
葬儀費用は、払ったあとに戻る部分と、相続税から引ける部分があります。国民健康保険や後期高齢者医療の加入者が亡くなると、葬祭を行った人に葬祭費が支給されます。額は自治体で違い、当サイトが47都道府県と政令市・東京23区を調べた範囲では2万円から7万円でした(大阪市は5万円)。一覧は葬儀費用の補助金「葬祭費」は2万円から7万円|47都道府県の後期高齢者医療と、政令市・東京23区の国保を公式ページで比べたにあります。会社の健康保険なら埋葬料5万円です。相続税の計算では、通夜・葬儀の費用は引けますが、香典返し・墓石・法要の費用は引けません。故人の預金からの払い戻し(1金融機関150万円まで)と合わせて、葬儀費用は誰が払い、どこまで引けるのかにまとめました。
進める順番
- 親が元気なうちに、葬儀社を1社決めておく。事前相談は無料が多い。「家族葬」の人数と日数を決める
- 亡くなったら、搬送を頼む前に「打ち合わせで依頼しない場合、搬送費はかかるか」を聞く
- 打ち合わせは家族か第三者と一緒に行く
- 見積書に明細があるか、広告の金額に含まれないものは何かを確かめ、総額を出してもらう
- 自治体の規格葬儀・区民葬儀があれば、指定店に申し出る
- 払ったら、葬祭費・埋葬料の申請と、相続税の控除のために領収書を残す
葬儀費用の相場、調べたので共有します。
- 喪主2,000人の平均で、総額は96.73万円でした(お布施は別)
- 形式別では、直葬49.6万円・一日葬74.4万円・家族葬96.4万円・一般葬122万円です
- 「家族葬50万円」の広告が、実際は120万〜200万円超になった相談が、国民生活センターに続いています
- 原因は、搬送を先に頼んで断れなくなる、含まれないものが後から出る、見積書に明細がない、の3つです
- 大阪市には規格葬儀、東京23区には区民葬儀券という仕組みもあります
- 葬儀社との打ち合わせは、一人で行かないようにしたいです。そのときは一緒に来てもらえますか
よくある質問
喪主2,000人の調査(鎌倉新書、2026年)で、総額の平均は96.73万円です。基本料金72.02万円、飲食11.67万円、返礼品13.03万円で、お布施は含みません。形式別では直葬49.56万円、一日葬74.43万円、家族葬96.39万円、一般葬122.01万円。日本消費者協会の2022年調査は寺院への費用も含めて161.9万円で、何を含めるかで数字が変わります。
喪主調査の平均は96.39万円で、一般葬の122.01万円より25万円ほど安い程度です。「家族葬」は参列者を身内に限る形式で、安さの保証ではありません。国民生活センターには「家族葬50万円」の広告で申し込んで120万〜140万円のプランを案内され、追加で総額200万円を超えた相談が寄せられています。広告の金額に含まれないもの(宗教者への費用、火葬料、式場使用料、飲食、返礼品)を聞いて、総額で比べてください。
形式を直葬・一日葬にする、飲食と返礼品の人数を絞る、自治体の規格葬儀・区民葬儀を使う、の3つです。直葬は平均49.56万円で家族葬の半分。大阪市の規格葬儀は祭壇等が20万4,270円、東京23区は区民葬儀券と火葬場利用の助成27,000円があります。ただし規格葬儀も宗教者への費用・火葬料・飲食は別なので、総額は自分で足す必要があります。
まず、見積書と請求書の明細を突き合わせてください。国民生活センターの事例では、チラシに「含まれる」とあった仏具・仏衣の費用が請求に入っていました。広告や見積書と違う項目は、根拠を書面で求めてよい。納得できなければ消費者ホットライン「188」に相談してください。国民生活センターは葬儀社の団体に対し、見積書を渡して正確な請求金額を伝えるよう要望しています。
法律に定めはなく、喪主が払うのが一般的で、相続人の間で分担することもあります。故人の預金からは、遺産分割前でも1金融機関150万円まで単独で払い戻せます。相続放棄を考えているなら故人の財産から払わないでください。健康保険から葬祭費・埋葬料5万円が出ます。詳しくは葬儀費用は誰が払い、どこまで引けるのかに書きました。
出典
- 独立行政法人国民生活センター「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル−『家族葬だから安い』と思っていませんか?−」(2026年6月3日)
- 鎌倉新書「第7回 お葬式に関する全国調査(2026年)」(2026年3月、有効回答2,000件)
- 一般財団法人日本消費者協会「第12回『葬儀についてのアンケート調査』報告書」(2022年3月31日公表、調査は2021年8〜12月)
- 大阪市「『大阪市規格葬儀』制度のご案内」
- 江東区「区民葬儀の案内」(令和8年4月1日以降の助成金を含む)
- 厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」(国民生活センター資料の引用による。死亡数約161万人)

