ペットの遺骨を親のお墓に入れられるか|国は「動物に墓埋法は適用されない」と答えている。だから確かめる相手が変わる
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実家を片付けていると、ペットの骨壺が出てくることがあります。親が飼っていた犬や猫を、親の墓に一緒に入れてやりたい。そう考える人は多いのですが、調べ始めると、人のお墓のときとは勝手が違うことに気づきます。役所に出す書類がなく、そもそも聞く窓口がはっきりしません。理由は制度のほうにあります。2004年の政府答弁書は「動物については、墓地、埋葬等に関する法律は適用されない」と述べています。この記事は、そこから始めて、どこに確かめればいいのかを整理します。
- ペットには、人の遺骨を守っている許可の仕組みがありません。墓地・納骨堂・火葬場の経営は知事等の許可が要りますが、ペットの納め先に国の許可制度はありません
- だから「入れられるか」は法律ではなく、その墓地の管理者が決めます。北九州市は「市立霊園では、ペットの納骨はお断りしています」と書いています
- 自治体に火葬を頼むなら、最初の分かれ道は費用ではなく「返してもらうかどうか」です。横浜市は合同3,000円・個別1万〜3万円で、返骨のない市では焼骨は手元に残りません

人の遺骨のほうの手続きは墓じまいの手続きはどこへ出す?改葬許可の流れと必要書類に、納め先の種類は永代供養とは何か|「永代」はずっと個別に置くという意味ではないにまとめています。
国は「動物には墓埋法が適用されない」と答えている
2004年、ペット霊園について国に質問した議員がいます。その答弁書(平成16年10月29日、内閣総理大臣 小泉純一郎)に、こう書かれています。
「動物については、墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)は、適用されない。」
同じ答弁書は、ほかにもはっきりしたことを述べています。
- 「動物霊園事業」の規制等を行っておらず、そのような事務を所管する部局は存在しない
- 「動物霊園事業」において取り扱われる動物の死体に関する法律は存在しない
- 施設の設置および管理運営について、政府による許可等の制度は存在しない
つまり、国には所管する部署も、根拠になる法律も、許可の制度もありません。答弁書はさらに、「現段階においては、新たな法整備を必要とするとは認識しておらず、政府として特段の対応を要するとは考えていない」と結んでいます。
注意:これは2004年の答弁です。その後に動物霊園を規制する法律ができたことは、この記事では確かめられていません。ただ、京都市が環境省の審議会に提出した資料(「動物の死体の火葬・埋葬に関する現状」)も同じ整理をしており、国の枠組みは長く変わっていないと見てよさそうです。
人の墓には許可が要り、ペットの納め先には要らない
この違いが、そのまま調べ方の違いになります。京都市の資料は、人とペットを並べて整理しています。
人のほうは、二重に許可がかかります。
- 火葬場・墓地・納骨堂を経営しようとする者は、墓埋法第10条により都道府県知事等の許可が必要
- 火葬・埋葬・改葬をしようとする者は、同法第5条により市町村長の許可が必要
だから人の遺骨は、動かすたびに記録が残ります。改葬許可申請がその代表です。どこから出してどこへ納めたかを、役所が押さえています。
ペットのほうには、そのどちらもありません。施設を開くのに許可が要らず、遺骨を動かすのに許可も届出も要りません。言い換えると、誰も記録を持っていないということです。
この差は、実際の困りごとに出てきます。京都市の資料は、2010年に埼玉県飯能市で起きた動物死体の不法投棄事件に触れています。飼い主から預かった死体を、火葬や返骨を適正に行わずに投棄したという事件です。人の火葬場なら許可の対象ですが、動物の焼却施設はその枠の外にありました。
なお、自治体が独自に条例や要綱を作っている例はあります。行田市には「ペット霊園等の設置等に関する条例」があり、さいたま市には「ペット火葬炉の設置等に関する指導要綱」があります。国の制度がないぶん、地域差が大きいと考えてください。
人のお墓のほうを先に決める場合は、複数の霊園・石材店から条件と見積もりを取り寄せて比べられます。ペットの可否も、見学のときに紙で確かめてください。
「一緒に入れるか」を決めるのは、墓地の管理者
法律が禁じていないことと、入れてもらえることは、別です。
墓埋法は動物に適用されないので、「ペットの焼骨を人の墓に入れてはいけない」という条文もありません。その代わり、判断はその墓地の管理者に委ねられます。管理者が規則で認めれば入れられますし、認めなければ入れられません。
公営では、断っている例があります。北九州市は、よくある質問にこう書いています。
「市立霊園では、ペットの納骨はお断りしています。」
東京都の場合、条例には書かれていません。東京都霊園条例を読むと、埋蔵できる焼骨の範囲を定めた条文がなく、動物についての規定も出てきません。都立霊園のよくある質問にも記載が見あたりません。書かれていないことは「できる」という意味ではありません。申込資格は原則「祖先の祭祀を主宰すべき者」(第6条)で、制度としては人の祭祀を前提に組まれています。確かめるなら、条例ではなく霊園の管理事務所に直接聞くことになります。
民営や寺院では、ペットと一緒に入れる区画を設けているところがあります。樹木葬にその形が多いことは樹木葬とは何か|仕組み・3つの型・費用の実額と、永代供養との違いを国の約款で読むに書きました。宗教法人が経営する墓地では、宗教上の理由で認めないことも多くあります。
注意:口頭の「大丈夫ですよ」で進めないでください。担当者が代わると通らなくなります。契約書か使用規則に、動物の焼骨についての条項があるかを紙で確かめてください。ペットは改葬許可の対象外なので、あとで「やはり出してください」と言われても、行政が間に入る仕組みがありません。
公営でも、ペット専用の納め先を持つ市がある
人の墓には入れられなくても、市が受け皿を用意している場合があります。
成田市は、いずみ聖地公園にペット墓地を設けています。合同納骨場(永年)で、1体3,300円。納骨できるのは犬・猫・猿・ウサギなどの小動物です。市外の人は利用できません。
高石市・泉大津市墓地組合は、火葬した焼骨の行き先を公表しています。一括火葬(3,000円、市外9,000円)の場合、毎月、焼骨の一部をたかいし霊園内にあるペットの碑に埋蔵するとしています。
仙台市も似た形です。返骨を希望しない場合、焼骨の一部は仙台市愛玩動物納骨堂に納められ、残りは石積埋立処分場に埋め立てられます。
いずれも、人の墓とは別の場所です。「同じ墓に入る」ことを望むなら公営はまず難しく、「市が供養してくれる場所がある」ことを望むなら公営で足ります。ここを分けて考えると、探す相手が決まります。

自治体の火葬は「返してもらうか」で数倍変わる
ここからは、これから火葬する場合の話です。自治体に頼むと安く済みますが、安い料金はたいてい「返骨なし」です。

返骨できる市
- 横浜市(戸塚斎場)… 個別火葬は1kg未満10,000円、1〜5kg 20,000円、5〜25kg 25,000円、25〜50kg 30,000円。焼骨は斎場が用意する骨壺に納めて全て持ち帰り。合同火葬は持込3,000円・出張回収6,500円で返骨なし。市民のみで、個別は火葬日の2開場日前から電話予約
- さいたま市… 区役所に申し込む死体処理は1頭1,100円で返却できません。返してほしい場合は大宮聖苑の小動物火葬で、15kg未満8,380円・15kg以上16,760円。1日4回、前日までに電話予約
- 仙台市(ペット斎場)… 返骨なしは自分で運べば1,800円・収集3,700円。返骨ありは20kg以下で自搬4,600円・収集6,500円、20kg超で自搬9,300円・収集11,400円。収骨は職員が行い、立会いはできません
- 岡山市… 市内の申請者は収骨13,000円・非収骨9,000円(市外は32,000円・28,000円)。収骨できるのは犬・猫に限られ、骨壺は無料ですが直径6cm・高さ8cm程度で、大型犬は入りきらないおそれがあると市が書いています
- 高石市・泉大津市墓地組合… 個別火葬18,000円(市外54,000円)。骨壺は2,000円。1日1頭で窓口先着順
- 成田市… 小(10kg未満)2,200円、中3,300円、大4,400円、特大(30kg以上)5,500円。市外の人は倍額。返骨には耐熱性の容器を持参します
返骨できない市
- 名古屋市(八事斎場)… 5kg未満1,100円、5〜15kg 2,200円、15〜50kg 4,400円。市民も市外も同じ料金で予約不要。「他の動物とまとめて行いますので、立会いやお骨を拾うことはできません」
- 大阪市(環境事業センター)… 5kg未満1,700円、5〜10kg 2,100円、10kg以上2,800円。「骨灰のお返し、お参り等はできません」
- 広島市営火葬場… 500g以下4,480円、それ以外9,000円。一時的に冷蔵保管して合同で火葬するため立会いもできません
同じことを頼んでも、住んでいる市で額も可否も違います。名古屋市は5kg未満1,100円で、返骨はできません。横浜市で同じ大きさの子を個別に火葬すれば10,000円で、全部返ってきます。約9倍の差ですが、返ってくるものが違うので、比べる意味は薄い。先に決めるのは金額ではなく、手元に残すかどうかです。
返骨のない市では、焼骨は残らない
「合同火葬でいい」と決めるとき、何が起きるのかは知っておいてください。
大阪市は、その先まで書いています。死体は動物専門の委託業者に引き渡され、委託先で合同焼却処理をする。「高温で処理するため、灰となって骨はほとんど残りません。わずかに残った灰は委託業者から埋め立て地に運ばれます。」
仙台市も、一部は市の納骨堂に納め、残りは埋立処分場に埋め立てると明記しています。
これを冷たいと読むかどうかは人によります。ただ、「市に頼めば供養してもらえる」と思い込んで申し込むと、あとで戻せません。お参りする場所がほしいなら、返骨のある市の個別火葬か、民間のペット霊園を先に調べることになります。
注意:民間に頼む場合、確かめる相手は国ではありません。許可制度がないぶん、料金表・火葬の方法(個別か合同か)・焼骨の行き先・遺骨の引き渡し方法を、書面でもらえるかどうかが判断材料になります。人の葬儀社を選ぶときと似ていますが、根拠になる法律がない点だけが違います。
実家の庭に埋めてある場合
実家じまいでよく出てくるのが、「庭に埋めた」というケースです。
京都市の資料は、ペットの死体の処理として次の3つを挙げています。
- 飼い主が自ら処理する(自己所有地への埋葬等)
- 地方公共団体(清掃局等)へ処理を依頼する(焼却)
- 民間事業者または寺院等へ処理を依頼する(火葬・返骨・埋葬等)
1番目が、行政の資料に「現状」として並んでいます。人の遺骨なら、墓地以外に埋めることは墓埋法第4条で禁じられています。ペットにはその条文がありません。
問題は、家を手放すときです。人の遺骨を移すなら改葬許可という手続きがあり、記録が残ります。ペットにはその手続きがないので、掘り返すかどうかも、買主に伝えるかどうかも、自分たちで決めることになります。判断の材料がほしいときは、事故物件になるのはどんなとき|告知が要る範囲を国のガイドラインで読むを参考にしてください。ペットの埋葬はガイドラインの対象ではありませんが、「何をいつ伝えるか」の考え方は同じです。
掘り返して火葬し直したい場合、自治体が受けてくれるとは限りません。多くの市の案内は、飼い主が持ち込む「死体」または「焼却」を前提に書かれています。まず市の担当課(環境局や清掃事業所であることが多い)に、土から出したものを受けられるかを聞いてください。
実家のペットの遺骨のこと、調べたので共有します。
- 国の答弁書で「動物には墓地埋葬法が適用されない」とされていて、人のお墓のような許可や手続きがありません
- だから親の墓に一緒に入れられるかは、法律ではなくその霊園の規則しだいです。北九州市のように市営霊園で断っているところもあります
- 公営でもペット専用の納骨場を持つ市はあります(成田市は1体3,300円)
- これから火葬するなら、先に決めるのは「遺骨を返してもらうかどうか」です。返骨なしだと焼骨は手元に残りません
- どうするか、決める前に一度話せますか
よくある質問
違法かどうかを定めた法律がありません。2004年の政府答弁書は「動物については、墓地、埋葬等に関する法律は適用されない」としています。禁止する条文がない代わりに、認める条文もありません。入れられるかどうかは、その墓地の管理者が規則で決めます。北九州市のように「市立霊園では、ペットの納骨はお断りしています」と公表している自治体があります。契約書か使用規則で確かめ、口頭の了解だけで進めないでください。
この記事で確かめた範囲では、人の墓所にペットを一緒に納められる公営霊園は見つかりませんでした。代わりに、ペット専用の納め先を持つ市があります。成田市はいずみ聖地公園にペット墓地(合同納骨場・永年)を設けており、1体3,300円で、市外の人は利用できません。高石市・泉大津市墓地組合は、たかいし霊園内のペットの碑に毎月焼骨の一部を埋蔵しています。「同じ墓に入る」ことを望むなら、民営霊園か寺院で共葬に対応しているところを探すことになります。
市によって、また返骨の有無によって変わります。返骨のない合同火葬は、名古屋市が5kg未満1,100円、大阪市が5kg未満1,700円、広島市が500g以下4,480円です。返骨のある個別火葬は、さいたま市(大宮聖苑)が15kg未満8,380円、横浜市が1kg未満10,000円・25〜50kg 30,000円、高石市・泉大津市墓地組合が18,000円。多くの市は市民限定で、岡山市や成田市のように市外の人が数倍払う市もあります。
手元には残りません。大阪市は「高温で処理するため、灰となって骨はほとんど残りません。わずかに残った灰は委託業者から埋め立て地に運ばれます」と説明しています。仙台市は、焼骨の一部を市の愛玩動物納骨堂に納め、残りは石積埋立処分場に埋め立てるとしています。お参りする場所がほしいなら、返骨のある個別火葬を選ぶか、ペット霊園の合同墓を探してください。
掘り返さなければならないという決まりはありません。人の遺骨を墓地以外に埋めることは墓埋法第4条で禁じられていますが、ペットにその条文はなく、改葬許可のような手続きもありません。その代わり、記録もどこにも残りません。掘り返すか、買主に伝えるかは自分たちで決めることになります。掘り返して火葬し直す場合、自治体が土から出したものを受けられるかは事前に確認してください。多くの市の案内は、そのまま持ち込む前提で書かれています。
2004年の答弁書は「施設の設置及び管理運営について政府による許可等の制度は存在しない」としています。人の火葬場・墓地・納骨堂は墓埋法第10条で知事等の許可が要るので、ここが決定的に違います。自治体が独自に条例や要綱を作っている例はあります(行田市のペット霊園等の設置等に関する条例、さいたま市のペット火葬炉の設置等に関する指導要綱など)。京都市の資料は、2010年に埼玉県飯能市で動物死体の不法投棄事件が起きたことにも触れています。料金・火葬方法・焼骨の行き先を書面でもらえるかを、判断の材料にしてください。
出典
- 衆議院「衆議院議員泉健太君提出動物霊園(ペット霊園)事業に関する質問に対する答弁書」(答弁第26号、平成16年10月29日)
- 京都市「動物の死体の火葬・埋葬に関する現状」(環境省 中央環境審議会動物愛護部会 動物愛護管理のあり方検討小委員会 資料)
- 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第4条・第5条・第10条
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項
- 北九州市「よくある質問(市立霊園)」
- 東京都霊園条例
- 成田市「ペットの火葬・ペット墓地」
- 高石市・泉大津市墓地組合「ペット火葬のご案内」
- 仙台市「死亡したペットの火葬」
- さいたま市「犬、猫などの死体処理」「大宮聖苑小動物火葬のご案内」
- 横浜市「ペット火葬のご案内」
- 名古屋市「八事斎場(ペット等の動物火葬)」
- 大阪市「ペットなどが死んだ場合の引き取り」
- 広島市「市営火葬場でのペットの火葬」
- 岡山市「ペットの火葬」

