都立霊園の墓じまい|八柱・多磨・小平などを返すとき。合葬へ移る「施設変更制度」は使用料なし、ただし更地に戻す費用は自己負担
本ページはプロモーションが含まれています。
実家のお墓が都立霊園にあって、継ぐ人がいない。その場合、東京都には専用の制度があります。「施設変更制度」を使うと、今のお墓を返して、遺骨を都の合葬式墓地へ移せます。合葬式墓地の使用料はかかりません。ただし、今の墓を更地に戻す工事の費用は使用者の負担で、ここがいちばん大きな出費になります。この記事は、東京都霊園条例、都立霊園の使用の手引、都議会の答弁から、墓じまいの手順とお金を整理します。
- 承継者がいない使用者は、施設変更制度で都の合葬式墓地(小平霊園・八柱霊園)へ移れます。使用料はかかりません。利用は2022年度に802件でした
- 墓石・カロート・囲いを撤去して更地に戻す費用は、使用者の負担です。都が公表する費用の目安はありません
- 納めた使用料は、許可から3年以内に返した場合の半額を除いて戻りません。名義人が亡くなっている場合は、先に承継の手続きが要ります

都立霊園は8か所。返す人は年に1,000件を超える
都立霊園は、青山、雑司ケ谷、谷中、染井、多磨、小平、八柱、八王子の8か所です。東京都公園協会の事業報告書(2026年3月末)によると、使用者は合わせて30万9,522人、納められている遺骨は145万6,084体です。
- 八柱霊園(千葉県松戸市)… 使用者8万8,476人
- 多磨霊園(府中市・小金井市)… 8万3,024人
- 小平霊園(東村山市・小平市・東久留米市)… 6万5,310人
- 八王子霊園… 3万2,943人
- 青山霊園… 1万4,914人
- 雑司ケ谷霊園… 1万2,883人
- 谷中霊園… 7,607人
- 染井霊園… 4,365人
返す人も増えています。都は2021年3月の都議会で、2019年度に返還された墓所は1,356件で、うち703件が合葬式墓地への施設変更だったと答えています。返した人の半分以上は、同じ都立霊園の合葬式墓地へ移っています。
小平霊園の樹林墓地・樹木墓地は、今は募集がありません。すでに当選している人の納骨の手続きと期限は小平霊園の樹木葬は、今は申し込めない|樹林墓地は2020年度、樹木墓地は2022年度が最後。都立の樹林型は多磨・雑司ケ谷に移ったに書きました。
施設変更制度:合葬式墓地の使用料はかからない
施設変更制度は、都立霊園の使用者で承継者がいない人が、墓を返して遺骨を合葬式墓地へ移せる制度です。2003年度に始まりました。

- 対象… 一般墓所、芝生墓所、小型芝生墓所、壁型墓所、みたま堂の使用者で、承継者がいない人
- 移る先… 都の合葬式墓地。現在の案内では小平霊園と八柱霊園
- 使用料… かからない(東京都霊園条例第20条の2第3項「変更後の合葬埋蔵施設等に係る使用料は、徴収しない」)
- 管理料… 合葬式墓地にはかからない
- 一緒に申し込める人… 今の墓に納められている遺骨のほか、使用者本人と配偶者の生前の申し込み
都議会での答弁によると、利用は2021年度が730件、2022年度が802件でした。始まった当初は年に100件ほどだったので、20年で8倍近くになっています。
知っておくことが3つあります。
- 今の墓を更地に戻す費用は、使用者の負担(案内に「現在使用しているお墓を更地にする費用は使用者の負担になります」とある)
- 合葬式墓地では、遺骨はほかの人の遺骨と一緒に納められ、あとから取り出せない
- 受け付ける霊園や期間は年度によって変わる。案内は「毎年、4月以降にご使用の霊園へお問合せください」としている
申し込みの窓口は、今お墓がある霊園の管理事務所です。都庁やほかの霊園では手続きできません。
承継者がいる人は、この制度の対象になりません。その場合は、毎年の公募で合葬式墓地や樹林型の墓地に申し込む方法があります。こちらは使用料がかかり、抽選です。今の都立霊園の墓を持ったまま当選した場合は、許可から180日以内に今の墓を更地に戻して返すことが条件になる施設があります。公募の倍率と使用料は東京で親のお墓を探すなら|都立霊園の倍率・使用料・申込資格を数字でに書きました。ほかの自治体の同じような制度は墓じまいする人には、公営の合葬に別枠がある|抽選なし・半額・2体目から安く。14都市を調べたで比べています。
更地に戻す費用:都の目安はない。議会に数字が1つある
墓じまいでいちばんお金がかかるのは、墓石の撤去です。都立霊園の使用の手引は、一般墓所の原状回復を次のように定めています。
- 墓石、カロート(納骨室)、囲いを撤去する
- 地固めをして整地する
- 樹木があれば伐採し、根を抜く
地面の下のカロートまで撤去するので、墓石を下ろすだけの工事より費用がかかります。2026年4月からは、工事の着手届と完了届に写真を付けることになり、霊園の職員が完了を確認します。
東京都は、撤去費用の目安を公表していません。公的な数字として当サイトが見つけられたのは、都議会の答弁の1つだけです。2021年3月16日の環境・建設委員会で、公園緑地部長がこう答えています。
「令和元年度に都が行った無縁墓所の改葬工事の場合では、工事金額を件数で除した一件当たりの金額は約八十万円でございます」
この数字は、そのまま自分の墓の見積もりにはなりません。都が発注した工事であること、無縁になった墓所であること、2019年度の数字であること、の3点が違います。それでも、都立霊園の区画を更地に戻す工事がどの程度の規模になるかを知る、数少ない手がかりです。
全国の調査では、墓じまいに払った総額は31〜70万円がいちばん多くなっています(墓じまいの費用はいくら?実際に払った733人の分布と高くなる3つの条件)。都立霊園の古い区画は広いものが多いので、見積もりは必ず2社以上から取ってください。見積書で確かめる項目は墓じまいの業者はどう選ぶ?代行8社を公式サイトで比べた順位と、石材店・行政書士の違い、見積書で確かめる8つのことに書きました。
都立霊園の原状回復は、墓石だけでなくカロートと囲いの撤去、樹木の伐採まで含みます。区画の広さと、通路に重機が入れるかどうかで費用が変わるので、現地を見てもらったうえで複数の石材店の見積もりを比べてください。見積もりを取っても契約の義務はありません。
生活保護を受けている人などには、原状回復をせずに返還できる特例がある、と都は議会で答えています。当てはまる場合は、霊園の窓口に相談してください。
納めた使用料は、ほぼ戻らない
東京都霊園条例は「既納の使用料及び管理料は、還付しない」と定めています(第15条)。例外は施行規則にあります。
- 許可から3年以内に、届出と原状回復をして返した場合… 使用料の半額
- それ以外… 戻らない
- 管理料… 戻る決まりはない
親や祖父母の代から使っている墓では、戻るお金はありません。
都に払う手数料は、多くありません。
- 改葬のための埋蔵・収蔵証明書… 400円(使用の手引)
- 名義を引き継ぐ承継の申請… 2,000円
- 使用許可証の再交付… 1,400円
- 返還の届出そのもの… 手数料の定めはない
管理料は、一般墓所で1㎡あたり年810円です(2026年4月改定)。管理料を5年間納めないと、使用許可を取り消されることがあります(条例第21条)。取り消された場合でも、名義人がいれば、都が更地に戻した費用を請求するとされています(2016年度の包括外部監査での都の回答)。払わずに放置しても、撤去の負担は消えません。放置した場合の流れは墓じまいをしないとどうなるのか|放置した墓と、お金が無いときの順番に書きました。
都立霊園の「3年以内なら半額」は、政令市でいちばん多い型です。何年たっても一部が戻る市も3つあり、21自治体の比較は市営墓地を墓じまいすると、永代使用料は戻るのか|政令市20市と東京都の条例を読むと、古い墓でも戻るのは3市。大阪市は何年たっても6分の1に書きました。
名義人が亡くなっていたら、先に承継する
返還の届出(正式には「埋蔵施設使用終了届」)には、次のものが要ります。
- 使用者(名義人)の実印
- その印鑑登録証明書(発行から3か月以内)
- 使用許可証
- 使用終了届
名義人の実印が要るので、名義人が亡くなったままでは、返還も施設変更もできません。先に、祭祀を継ぐ人への承継の手続きをします。承継には、申請者の実印と印鑑登録証明書、戸籍謄本、名義人とのつながりが分かる戸籍、使用許可証が要り、手数料は2,000円です。誰が継ぐかで親族の合意が要る場合は、協議が成立したことを示す書類も求められます。
使用許可証が見つからない場合は、再交付を受けます。親が元気なうちに、許可証の置き場所と名義人を確かめておくと、あとの手間が大きく減ります。誰が墓を継ぐかの決まり方は仏壇とお墓は遺産分割の対象外|誰が継ぐかは民法897条で決まる。相続放棄をしても継げますに書きました。
改葬許可の申請先は、霊園がある区市
合葬式墓地ではなく、寺院の納骨堂など別の場所へ移す場合は、改葬許可が要ります。流れは次のとおりです。
- 移し先から、受け入れの証明書をもらう
- 霊園の窓口で、埋蔵・収蔵証明書をもらう
- 霊園がある区市の役所で、改葬許可を受ける
- 遺骨を引き取り、墓を更地に戻して返す

申請先は、自分が住んでいる市区町村ではなく、霊園がある区市です。
- 多磨霊園… 府中市。市は、多磨霊園が証明して発行した申請書を使うよう案内している
- 小平霊園… 東村山市。市のページに「都立小平霊園に埋葬されている方の改葬許可申請は東村山市で行います」とある
- 雑司ケ谷霊園・染井霊園… 豊島区。専用の申請書があり、区の様式は使えないので、管理事務所に問い合わせる
- 青山霊園… 港区
- 谷中霊園… 台東区
- 八王子霊園… 八王子市
- 八柱霊園… 千葉県松戸市
八柱霊園は都立ですが、場所は千葉県松戸市なので、改葬許可は松戸市に申請します。青山・谷中・八王子・八柱については、区や市のページに霊園の名前が出てこないので、申請の前に霊園の窓口で申請先と様式を確かめてください。府中市、東村山市、八王子市は、改葬許可の手数料を無料としています。
青山、谷中、雑司ケ谷、染井の4霊園は、都が再生事業を進めていて、返還の扱いがほかの霊園と違う場合があります。この4霊園の墓を返すときは、最初に管理事務所へ相談してください。改葬許可の流れ全体は墓じまいの手続きはどこへ出す?改葬許可の流れと必要書類にまとめています。
進める順番
- 使用許可証を探し、名義人を確かめる。亡くなっていれば承継の手続きをする
- 継ぐ人がいるかどうかを家族で確かめる。いなければ、霊園の窓口に施設変更制度を問い合わせる(4月以降)
- 移し先を決める。合葬式墓地なら、遺骨を取り出せなくなることを家族で確かめる
- 石材店2社以上から、カロートと囲いの撤去まで含めた見積もりを取る
- 霊園の窓口に工事の届出を出し、遺骨を移して、墓を更地に戻す
- 霊園の職員の確認を受けて、使用終了届を出す
都立霊園のお墓のこと、調べたので共有します。
- 継ぐ人がいない場合、お墓を返して都の合葬式墓地に移れる制度があります。合葬式墓地の使用料はかかりません
- ただし、今のお墓を更地に戻す工事は自分たちの負担です。地面の下の納骨室まで撤去します
- 合葬式墓地に納めると、お骨はあとから取り出せません
- 名義人が亡くなっている場合は、先に名義を引き継ぐ手続きが要ります
- 使用許可証がどこにあるか、分かりますか
よくある質問
都が公表している目安はありません。都に払うのは証明書などの数百円から数千円で、大半は墓を更地に戻す石材店の工事費です。参考になる公的な数字は、都が無縁の墓所を改葬した工事が1件あたり約80万円だった、という2021年の都議会の答弁です(2019年度の工事)。区画の広さで変わるので、見積もりを2社以上から取ってください。
都立霊園の使用者で、承継者がいない人が対象です。今の墓を返して、遺骨を都の合葬式墓地へ移します。合葬式墓地の使用料はかかりません。受け付ける霊園や期間は年度で変わるので、毎年4月以降に、今お墓がある霊園の管理事務所へ問い合わせます。
許可から3年以内に返した場合だけ、半額が戻ります。それ以外は戻りません。管理料が戻る決まりもありません。
千葉県松戸市です。改葬許可は、今の墓がある市区町村が出します。八柱霊園は都立ですが松戸市にあります。先に八柱霊園の管理事務所で埋蔵の証明書をもらい、申請先と様式を確かめてください。
出典
- 東京都霊園条例、同施行規則(東京都例規集、令和8年4月1日施行版)
- 東京都公園協会「都立霊園 埋蔵施設・みたま堂 使用の手引」(令和7年12月改定)、「施設変更制度のご案内について」、工事着手届・完了届についてのお知らせ(2026年3月)、令和7年度事業報告書
- 東京都議会 環境・建設委員会(2021年3月16日、2023年3月14日)、令和元年度各会計決算特別委員会の会議録
- 東京都「平成28年度 包括外部監査報告書」
- 府中市・東村山市・豊島区・八王子市の改葬許可申請のページ

