墓じまいの費用はいくら?実際に払った733人の分布と高くなる3つの条件
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親のお墓をどうするか考え始めると、まず気になるのが金額です。いくらか分からないままでは、兄弟にも親戚にも切り出せません。
- 実際に払った人の総額は31〜70万円が最も多く、約半数が70万円以下で終えている
- よく見る「30〜150万円」は見積もりの幅で、実際に払った額の分布とは別のもの
- 高くなるのは「墓石が大きい」「重機が入らない」「離檀料が高い」の3つが重なったとき

実家じまい全体の流れと、先に確かめる期限は実家じまいは何から始める?5つの段階と、かかるお金の全体像にまとめています。
実際に払った金額は「31〜70万円」が最も多い
墓じまいを終えた人の総額は、31〜70万円が31.3%で最も多い帯です。30万円以下の16.8%と合わせると、約半数(48.1%)が70万円以下で終えています。

この数字は、鎌倉新書が2026年1月に実施した「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査」(有効回答733件)によるものです。151万円以上かかった人も14.0%いますが、多数派ではありません。
検索すると「30万円〜150万円」という書き方をよく見かけます。あれは事業者が示す見積もりの幅で、この記事の分布とは別のものです。見積もりの幅は「起こりうる範囲」、分布は「実際に何人がいくら払ったか」を表しています。予算を立てるときに見るべきは後者です。
この調査の限界も書いておきます
この733人は、霊園紹介サイト「いいお墓」を通じて資料請求や霊園見学をした人が対象です。つまり、次の納骨先をすでに探している層に偏っています。次を決めずに撤去だけした人や、自分で手続きした人は少なめに出ている可能性があります。
「300万円かかる」と言われるのはなぜか
「墓じまいには300万円かかる」という話を目にすることがあります。これは、墓じまいの費用と、新しいお墓を建て直す費用が足し合わされた金額です。この2つは分けて考えてください。
墓じまい本体は、いまあるお墓を撤去して、遺骨を取り出し、行政手続きをするところまでです。そのあと遺骨をどこへ納めるかで、追加の金額が大きく変わります。
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| 次の納め先 | 費用の目安 | 実際に選ばれた割合 |
|---|---|---|
| 永代供養墓(合祀・合葬) | 5〜30万円 | 43.2% |
| 樹木葬 | 20〜80万円 | 24.1% |
| 納骨堂 | 20〜150万円 | 13.3% |
| 新しい一般墓を建てる | 100〜300万円 | 14.3% |
300万円という数字が出てくるのは、いちばん下の「新しいお墓を建てる」を選んだ場合です。実際にこれを選んだ人は14.3%で、多数派ではありません。最も多いのは永代供養墓で43.2%です。
つまり、総額を決める最大の要素は撤去費ではなく、次にどこへ納めるかです。撤去業者を探す前に、納め先を先に決めたほうが金額は読みやすくなります。
2番目に多い樹木葬は、方式によって「後から遺骨を取り出せるかどうか」が変わります。契約前に確かめる場所は樹木葬で後悔する人は何を見落としたのか|契約前に確かめる5つの条件にまとめてあります。
納骨堂だけは、法律で定義された施設です。経営に都道府県知事の許可が要り、契約者は帳簿と財務書類の閲覧を請求できます(納骨堂とは何か|許可が要る施設だから、帳簿を見せてもらえる)。
最も多く選ばれている永代供養墓も、「永代」は「ずっと個別に置く」という意味ではありません。個別に置かれる期間とそのあとは永代供養とは何か|「永代」はずっと個別に置くという意味ではないにまとめました。宗旨によって呼び方も頼む中身も変わります(「永代供養」で後悔する前に|宗旨と、菩提寺との関係を確かめる)。東京へ移すなら、都立霊園の使用料と倍率を先に見てください(東京で親のお墓を探すなら|都立霊園の倍率・使用料・申込資格を数字で)。
費用の内訳と、それぞれ何で変わるか
墓じまいの費用は、大きく4つに分かれます。金額の幅が大きいのは、上の2つです。
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| 費目 | 目安 | 何で変わるか |
|---|---|---|
| 墓石の撤去・処分 | 1㎡あたり10〜20万円 | 面積、重機が入るか、傾斜地か |
| 離檀料(寺院の場合) | 0〜20万円 | 寺との関係。請求されないことも多い |
| 閉眼供養のお布施 | 3〜10万円 | 宗派、地域、僧侶の移動距離 |
| 行政手続き | 0〜数千円 | 自治体、証明書の発行手数料 |
墓石の撤去・処分
面積あたりの単価は、事業者の公開料金でおおむね1㎡あたり10〜20万円です。ここは調査データではなく事業者側の提示価格なので、目安として見てください。
金額を動かすのは面積そのものより、現場に重機が入るかどうかです。参道が狭い、階段しかない、山の上にあるといった場合は、石材を人の手で運ぶことになり、同じ面積でも数十万円変わります。
離檀料
寺院墓地を離れるときに、お礼として渡すお金です。離檀料に法的な決まりはありません。金額の相場も、支払いの義務も、法律で定められてはいません。払わない場合に何が起きるか、寺が埋蔵証明を出さないときの手続き(墓埋法施行規則の「準ずる書面」)は離檀料は払わないといけないのか|相場の根拠、断り方、証明を出してもらえないときの手続きと、閉眼供養のお布施の書き方に書きました。
実際の金額を見ると、墓じまいパートナーズが2026年に経験者230人へ行った調査では、お布施の額は5〜10万円が23.8%で最も多く、5万円未満も19.0%います。一方で20〜30万円という回答も21.4%あり、寺との関係によって幅があります。
数十万円から100万円を超える額を提示された、という相談は実際にあります。契約書にあたる「墓地使用許可証」に離檀料の記載があるケースはほとんどありません。折り合いがつかないときは、宗派の本山や、お住まいの自治体の消費生活センターに相談してください。
閉眼供養のお布施
遺骨を取り出す前に、僧侶に読経してもらう儀式です。3〜10万円が目安ですが、宗派と地域で違います。
金額を聞くのは失礼ではありません。「皆さんはどのくらい包まれていますか」と尋ねれば、寺のほうから目安を教えてくれることが多いです。ここを曖昧にしたまま当日を迎えると、判断に困ります。
行政手続き
遺骨を別の場所へ移すには、いまお墓がある市区町村が発行する改葬許可証が要ります。墓地、埋葬等に関する法律で決められた手続きです。
手数料は自治体によって違い、無料のところもあります。たとえば船橋市は、改葬許可申請の手数料そのものは無料としています。ただし、墓地の管理者に出してもらう埋蔵証明書には別途費用がかかることがあります。
注意したいのは日数です。船橋市は改葬許可証を即日では交付せず、発行までおよそ1週間かかると案内しています。撤去工事の日程を先に決めてしまうと間に合わないことがあるので、書類を先に動かしてください。
納め先の費用は、遺骨の数でも変わります。那覇市民共同墓の合葬室は1体3万円ですが、古い墓から10体出てくれば30万円です(沖縄・那覇で墓じまいするなら|改葬は全国の約3倍。那覇市民共同墓は1体3万円で随時受付、個人の墓は「地図」で申請できる)。
費用が高くなる3つの条件
総額が100万円を超える例には、共通する条件があります。次の3つです。
- 墓石が大きい(3㎡以上、複数の石塔がある、外柵が大きい)
- 重機が入らない(参道が狭い、階段のみ、傾斜地、山の上)
- 離檀料を高く求められる(数十万円単位の提示がある)
どれか1つだけなら70万円以内に収まることが多く、3つ重なると150万円を超えます。逆に言えば、自分のお墓がこの3つに当てはまらないなら、相場の高いほうの数字に怯える必要はありません。
見積もりを頼む前に、お墓の面積と、現場まで車が入るかを確認しておいてください。この2つが分かれば、電話の段階でおおよその金額を聞けます。
斜面の墓が多い長崎市のように、重機の入らない墓地が多い土地では、この条件に当てはまりやすくなります(長崎で親のお墓を探すなら|墓じまいは火葬100件に56件で全国の市で最多。市営の合葬墓は無く、市営墓地の空きは22区画)。
公営の霊園でも、撤去の範囲が広いと費用は上がります。都立霊園は地下の納骨室と囲いまで撤去する決まりで、都が無縁の墓所を改葬した工事は1件あたり約80万円だったと都議会で答弁されています(2019年度、都の発注。都立霊園の墓じまい|八柱・多磨・小平などを返すとき。合葬へ移る「施設変更制度」は使用料なし、ただし更地に戻す費用は自己負担)。
費用は誰が払うのか
法律で「この人が払う」と決まってはいません。お墓を引き継ぐ人を祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)と呼び、民法ではその人が祭具や墓を承継すると定めていますが、費用の負担者までは決めていません。条文の中身と、分担が決まらないまま放置した場合に起きることは墓じまいをしないとどうなるのか|放置した墓と、お金が無いときの順番にまとめました。
実務では、次のどれかで決まることが多いです。
- お墓を引き継いでいた人(多くは長男)が払う
- 兄弟で等分する
- 親の相続財産から出す
親が亡くなったあとであれば、遺産分割の話し合いのなかで墓じまいの費用も一緒に決めてしまうのが、あとで揉めにくい形です。先に一人が立て替えると、金額の妥当性をめぐって話がこじれることがあります。
墓じまいパートナーズの調査でも、大変だったこととして「親族との話し合い」を17.3%が挙げています。費用そのもの(13.5%)より高い割合です。金額を決める前に、誰が決めて誰が払うかを先に決めてください。
災害で墓石が壊れたときの修理も、使用者の負担です。2016年の熊本地震では熊本市営墓地の54%で墓石が壊れ、市の記録誌は「全額使用者負担となっている(支援金等の制度なし)」と書いています(熊本で親のお墓を探すなら|市営に合葬墓は無く、管理料はゼロ。熊本地震で墓石が壊れた区画は54%、修理は全額自己負担だった)。
費用を抑える順番
安くする方法はいくつかありますが、効果が大きい順に並べると次のとおりです。
- 次の納め先を先に決める。総額を最も動かすのはここです。永代供養墓なら5〜30万円、新しい一般墓なら100〜300万円で、10倍近く違います
- 撤去の見積もりを2社以上から取る。同じ条件でも石材店によって金額は変わります。1社だけでは高いか安いか判断できません
- お布施と離檀料の金額を先に確認する。当日に提示されると断りにくくなります
- 自治体の補助制度を確認する。ただし墓じまいに補助を出す自治体は多くありません。公営墓地の返還に限った制度がほとんどです
補助金については条件が自治体ごとに大きく違うため、別の記事で整理しました。
書類の出し先と、そろえるものは墓じまいの手続きはどこへ出す?改葬許可の流れと必要書類にまとめました。申請先は移す先ではなく、いまお墓がある市区町村です。
移す先の使用料は、市営の墓を返す人だと下がることがあります。公営14都市で集めた比較は墓じまいする人には、公営の合葬に別枠がある|抽選なし・半額・2体目から安く。14都市を調べたに書きました。
市営墓地なら、返したときに納めた使用料の一部が戻る市があります。政令市20市と東京都の条例の違いは市営墓地を墓じまいすると、永代使用料は戻るのか|政令市20市と東京都の条例を読むと、古い墓でも戻るのは3市。大阪市は何年たっても6分の1にまとめました。
墓じまいの費用のこと、調べたので共有します。
- 総額は31〜70万円がいちばん多く、約半数が70万円以下でした
- よく聞く300万円は、新しいお墓を建てる場合の話です
- 高くなるのは、墓石が大きい、重機が入らない、離檀料がかかる、の3つの場合です
- 見積もりは、石材店2社以上から取りたいです
- 一度、お墓の大きさと、そこまでの道の広さを見に行きませんか
見積もりは2社以上から取る
石材店によって撤去費は変わります。同じ条件で2社以上の見積もりを並べると、相場から外れた提示に気づけます。見積書で比べる8つの項目と、石材店・代行業者・行政書士に頼めることの違いは墓じまいの業者はどう選ぶ?石材店・代行業者・行政書士の違いと、見積書で確かめる8つのことにまとめました。
一括見積もりのサービスを使えば、石材店を1軒ずつ探して電話をかけて回らずに済みます。見積もりを取ったあとで断っても構いません。
墓じまいは珍しいことではありません
最後に、判断の材料をひとつ。厚生労働省の衛生行政報告例によると、全国の改葬件数は2024年度に176,105件でした。2021年度は118,975件で、3年で約1.5倍に増えています。都道府県別の数字と読み方は墓じまい(改葬)は2024年度に17万6,105件|都道府県別に見ると、多いのは「お墓が出ていく県」だったに書きました。
改葬とは、遺骨を別の場所へ移すことです。墓じまいをした人の多くがこの手続きを取ります。年間17万件を超えていて、特別な選択ではなくなっています。
鎌倉新書の調査でも、墓じまいを検討する理由の1位は「お墓が遠方にある」(52.0%)、2位は「継承者がいない」(44.1%)でした。事情はほとんどの家で共通しています。
よくある質問
まず、次の納め先を合祀の永代供養墓にすると総額が大きく下がります。5〜30万円が目安です。撤去費についても、石材店によっては分割払いに応じるところがあります。それでも難しい場合は、遺骨を一度自宅で保管することも法律上は可能です。自宅での保管に許可は要りません。
一律の制度はありません。墓じまいそのものに補助を出す自治体は少なく、あっても公営墓地を返還する場合に限られていることがほとんどです。金額も数万円から数十万円まで幅があります。対象になる条件と申請の順番は墓じまいに補助金はある?対象になるのは公営墓地の返還だけにまとめました。
閉眼供養のお布施は3〜10万円が目安です。経験者への調査では5〜10万円が最も多く、23.8%でした。金額に迷ったら、寺に直接「皆さんはどのくらい包まれていますか」と尋ねて構いません。
改葬許可証は即日では出ません。船橋市の場合、発行までおよそ1週間としています。埋蔵証明書と受入証明書を先に集める必要があるため、書類だけで2週間から1か月をみておくと安心です。
出典
- 鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査」2026年1月(有効回答733件)
- 墓じまいパートナーズ「墓じまい実態調査2026」(経験者・検討者230人)
- 厚生労働省「令和5年度 衛生行政報告例」第4章 生活衛生 第6表(政府統計の総合窓口 e-Stat)
- 厚生労働省「令和3年度 衛生行政報告例」第4章 生活衛生 第6表(同上)
- 船橋市「市内のお墓からお骨を移動させるご予定の方へ(改葬許可申請)」2026年9月確認
- 墓地、埋葬等に関する法律

