「永代供養」で後悔する前に|宗旨と、菩提寺との関係を確かめる
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永代供養墓のパンフレットを何枚か並べて、値段と場所で比べている。そこに宗旨の欄がないことに、あとで気づく人がいます。
- 浄土真宗では「追善供養」の考え方を採りません。本願寺派は「こちらから善を振り向ける必要はない」としています
- 本山に納める道があります。大谷本廟の納骨懇志は3万円以上から、大谷祖廟の志納金は2万円以上からです
- どちらも「納めた遺骨はお返しできません」と明記しています。戻せないことは先に家族へ伝えてください

「永代供養」という言葉そのものの意味は永代供養とは何か|「永代」はずっと個別に置くという意味ではないにまとめました。この記事は、そこに書かなかった宗旨と菩提寺の話です。
「後悔した人の割合」という統計はない
先に断っておきます。永代供養を選んだ人が何を後悔したかを調べた公的な統計は見つかりませんでした。検索して出てくる「後悔ランキング」は、出どころが書かれていないものがほとんどです。
分かっているのは、選ばれ方のほうです。鎌倉新書が2026年1月に行った第17回お墓の消費者全国実態調査(有効回答1,267件)では、購入したお墓の種類は樹木葬47.4パーセント、合祀墓・合葬墓16.4パーセント、納骨堂15.5パーセント、一般墓15.2パーセントでした。継承者を必要としない形が多数派です。
選ぶときに重視した点は「お墓の種類」50.0パーセント、「金額」43.9パーセント、「継承者不要」38.8パーセント、「お墓参りにアクセスのよいエリア」38.4パーセントでした。
この4つに、宗旨は入っていません。後から問題になりやすいのは、まさに比べるときに見ていなかったところです。
なお、施設側の契約条件でつまずく話は樹木葬で後悔する人は何を見落としたのか|契約前に確かめる5つの条件にまとめました。この記事はそちらと重なりません。扱うのは、寺と宗旨のほうです。
浄土真宗では「追善供養」をしない
浄土真宗本願寺派は、公式のQ&Aでこう説明しています。
「浄土真宗の味わいでは、亡き人は阿弥陀仏の救いによってすでに浄土に生まれ、仏さまになっておられます。ということは、こちらから善を振り向ける必要はないのです」(仏事・行事Q&A「法事の意味」)
そのうえで、法事の位置づけをこう述べています。「法事はあくまで、参拝者一人ひとりが「私のために」仏法を聞く仏教行事なのです」。別の項目では「故人のためではなく、あくまで「私のため」の法事です」とも書かれています。
お墓についても記載があります。「亡き人はお墓の中にいるのではなく、浄土に生まれて仏さまになっておられます」
「供養」という言葉の使い方が、ほかの宗旨と違うということです。だから浄土真宗の寺では、「永代供養をお願いします」という言い方がそのまま通らないことがあります。言葉が違えば、頼む中身も変わります。
注意:寺の「永代供養塔」は、宗派の形を取ります。塔婆の形、五輪塔、観音像など、その寺の考え方が表れます(永代供養塔とは何か|公営はどこも「永代供養塔」と呼んでいない。同じ中身が20通りの名前で案内されている)。
注意:これは、どの考え方が正しいかという話ではありません。実家の宗旨がどれなのかを知らないまま契約すると、あとで菩提寺と話がかみ合わなくなる、という実務の話です。

浄土真宗で使われるのは「永代経」
真宗大谷派(東本願寺)は、読経の趣旨をこう説明しています。「亡き人を大切なご縁として、有縁の方々とともに、如来のみ教えにお遇いいただくことを願い」
向いている方向が、故人ではなく、残された人のほうです。永代経は、亡くなった人のために功徳を送る儀式としてではなく、教えが永く受け継がれていくための懇志として説明されています。
寺に電話する前に、この違いを知っておいてください。「永代供養はいくらですか」と聞くと話が止まることがあります。「永代経をお願いしたい」「本山に納骨したい」と言えば、話が進みます。
本山に納める道がある① 大谷本廟
浄土真宗本願寺派には、大谷本廟の祖壇納骨があります。
宗祖親鸞聖人のご影並びにご遺骨が納められている場所で、年間およそ1万2,000件の納骨が行われています。
納骨懇志の額は、公式に次のように示されています。
- 小型容器… 納骨・一座経は3万円以上、納骨・永代経は6万円以上
- 大きい場合… 納骨・一座経は5万円以上、納骨・永代経は8万円以上
申し込みには書類が要ります。納骨届(所属寺住職の署名・捺印が必要)と、遺骨全部を納める場合は火葬許可証、改葬の場合は改葬許可証です。故人名(俗名)が不詳の場合は納骨できません。複数体を納めるときは、人数分の懇志が必要とされています。
そして、いちばん大事な一行です。「納骨したお骨はお返しできません」
本山に納める道がある② 大谷祖廟
真宗大谷派には、大谷祖廟の納骨があります。志納金は種類で分かれています。
- 別座納骨… 1等100万円以上/2等50万円以上/3等30万円以上/4等15万円以上
- 通常納骨(一座読経)… 1種10万円以上/2種7万円以上/3種4万円以上/4種2万円以上
改葬の場合は各種2万円が加算され、3寸壺を超える大きな容器も同額の加算とされています。必要なものは火葬許可証(改葬なら改葬許可証)、志納金、念珠です。
こちらも「納骨された遺骨はお返しすることができません」と明記されています。
所属寺については、大谷祖廟は「真宗大谷派に属する方(所属寺をお持ちの方)の納骨所です」としつつ、納骨の時点で所属寺がなくても、これを縁として今後関係を結ぶことができるとしています。
注意:金額はどれも「以上」です。下限が示されているだけで、上限ではありません。「3万円と書いてあったのに」と後で思わないよう、家族と先に額を決めてから行ってください。
菩提寺に相談せずに決めると、手続きが止まる
墓じまいをして永代供養に移す場合、菩提寺は避けて通れません。
改葬の許可を申請するには、いま遺骨が納められている墓地の管理者の証明が要ります。手続きの中身は墓じまいの手続きはどこへ出す?改葬許可の流れと必要書類にまとめました。寺が管理者なら、証明をもらう相手は寺です。
先に納め先を契約し、あとから菩提寺に話す。この順番でつまずく人がいます。順番は逆です。
費用の話も同じです。鎌倉新書の第4回改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年1月、有効回答733件)では、実施した費用は31万円から70万円が最も多く、約半数が70万円以下でした。検討したけれどやめた人の理由は、費用の高さが最も多いとされています。費用の内訳は墓じまいの費用はいくら?実際に払った733人の分布と高くなる3つの条件にあります。
菩提寺と話がついたら、墓石の撤去は石材店に頼みます。寺に指定の石材店があるかを先に聞き、無ければ複数の見積もりで比べてください。見積もりを取っても契約の義務はありません。
「墓じまいの後悔」は、戻せないことから起きる
墓じまいは、元の墓を撤去して更地にし、墓地を返すことです。
やり直しがききません。墓石を撤去したあとで「やはり残しておけばよかった」と思っても、同じ場所に同じ墓は戻りません。合祀された遺骨も同じです。神戸市は合葬施設について「合葬施設へ納骨された遺骨は返還できません」と明記しています。本山も同じことを書いています。
だから、後悔を減らす方法は「決める前に戻せないところを一つずつ確認する」しかありません。
- 全部を納めるのか、分けて手元に残すのか
- 個別に置かれる期間は何年で、そのあとどうなるのか
- 親族の誰にいつ話すのか
3つ目が抜けやすいところです。手続きは自分ひとりでできても、後から「聞いていない」と言われる相手は自分では選べません。

実家の宗旨が分からないときの調べ方
分からないまま契約しないでください。次の順で当たります。
- 仏壇を見る。本尊と脇にかけられているものが宗旨で違います。写真を撮って寺に見せれば教えてもらえます
- 過去帳や位牌の法名・戒名を見る。浄土真宗は「法名」、多くの宗旨は「戒名」です。文字の付き方にも違いがあります
- 墓石の彫刻を見る。竿石の正面に彫られている文字が手がかりになります
- 親族に聞く。葬儀を出した寺の名前を覚えている人がいます
- 地域の寺に聞く。実家のある地域の同じ宗旨の寺に、経緯を話して相談できます
仏壇や位牌そのものをどうするかは仏壇の処分はどうする?自治体に出せます。順番を間違えないためにと位牌の処分はどうする?白木と本位牌で扱いが違いますにまとめました。
永代供養と、うちの宗旨のこと、調べたので共有します。
- 永代供養を決める前に、実家の宗旨と菩提寺を確かめたいです
- 浄土真宗は「追善供養」の考え方をとらず、呼び方も「永代経」です
- 本山に納める道もあります。大谷本廟は3万円以上、大谷祖廟は2万円以上で、どちらも納めた遺骨は返りません
- 墓じまいをするなら、菩提寺への相談が先です
- うちの菩提寺と宗派、誰か分かりますか
よくある質問
寺によっては、その言葉で受け付けているところもあります。ただし考え方の土台が違います。浄土真宗本願寺派は「亡き人は阿弥陀仏の救いによってすでに浄土に生まれ、仏さまになっておられます。ということは、こちらから善を振り向ける必要はないのです」としています。寺に頼むときは「永代経」「本山納骨」という言い方のほうが通じます。
多くの場合、そう呼ばれています。ただし「永代供養」は法律上の言葉ではないので、中身は施設ごとに違います。樹木葬は遺骨の納め方の形式で、永代供養は管理と供養についての約束です。同じ軸ではありません。確かめる項目は樹木葬で後悔する人は何を見落としたのか|契約前に確かめる5つの条件にまとめました。
遺骨を全部納めれば、納め先としては足ります。ただし、手を合わせに行く場所が本山だけになります。高齢の家族が毎年行けるかを先に考えてください。分けて納め、一部を近くの納骨堂(納骨堂とは何か|許可が要る施設だから、帳簿を見せてもらえる)や手元に残す選び方もあります。全部を納めたあとでは分けられません。
金額に公的な基準はありません。話し合いになります。求められた場合は、何に対する費用なのかを書面で確かめてください。改葬許可の申請には、いま遺骨がある墓地の管理者の証明が必要です。話がこじれると手続きが止まるので、早い段階で、感謝を伝えたうえで事情を説明するのが現実的です。進め方は墓じまいの手続きはどこへ出す?改葬許可の流れと必要書類にあります。払わない場合の法的な整理と閉眼供養のお布施の書き方は離檀料は払わないといけないのか|相場の根拠、断り方、証明を出してもらえないときの手続きと、閉眼供養のお布施の書き方にまとめました。
本山納骨だけなら、大谷本廟は3万円以上、大谷祖廟は2万円以上が下限です。ただし墓じまいを伴う場合は、墓石の撤去と改葬の費用が別にかかります。鎌倉新書の調査では、実施した費用は31万円から70万円が最も多く、約半数が70万円以下でした。内訳の見方は墓じまいの費用はいくら?実際に払った733人の分布と高くなる3つの条件にあります。
出典
- 浄土真宗本願寺派「仏事・行事Q&A」(法事の意味/法事は何回忌まで?/納骨とお墓参り/亡き人はどこへ?)
- 大谷本廟「祖壇納骨」(納骨懇志、必要書類、遺骨の返還について)
- 真宗大谷派「大谷祖廟」納骨(志納金、必要なもの、遺骨の返還について)
- 真宗大谷派(東本願寺)「お経をお願いする」「永代経について」
- 鎌倉新書「第17回 お墓の消費者全国実態調査」2026年1月16日〜30日(有効回答1,267件)
- 鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査」2026年1月16日〜23日(有効回答733件)
- 神戸市「合葬式墓地(鵯越合葬墓)」
- 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第5条

