納骨堂とは何か|許可が要る施設だから、帳簿を見せてもらえる
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墓じまいのあと、遺骨をどこへ納めるか。屋内で、駅から近く、掃除も要らない。納骨堂は条件だけ見れば良いことばかりに見えます。ただし、ほかの納め先とは決定的に違う点が一つあります。
- 納骨堂は法律に定義がある施設です。経営には都道府県知事の許可が要ります
- 契約者は、帳簿と財務書類を見せてもらえます。法律が「閲覧を拒んではならない」と定めています
- 実際に経営破綻した納骨堂があります。そこには、法律で備えるべき財務書類がありませんでした

実家じまい全体の流れと、先に確かめる期限は実家じまいは何から始める?5つの段階と、かかるお金の全体像にまとめています。
納骨堂は、法律に定義がある施設
ここが、この記事でいちばん大事なところです。
墓地、埋葬等に関する法律の第2条第6項は、納骨堂をこう定義しています。「他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設」
「許可を受けた施設」が定義に入っています。許可の無いものは、法律上の納骨堂ではありません。
許可を受けた納骨堂の数は、厚生労働省の統計に出ています。たとえば京都市には133施設あり、うち132施設が宗教法人の経営です(京都で親のお墓・納骨堂を探すなら|市の深草墓園は納骨2万円・樹木型18万円。墓じまいが政令市で2番目に多い街で確かめること)。九州には納骨堂が集まっていて、熊本県1,137施設、鹿児島県933施設と続きます(鹿児島で親のお墓・納骨堂を探すなら|市営合葬墓は1柱3万8,000円。ただし民営と市外からの改葬は受けない)。最も多いのは福岡県で、2,988施設と全国の21.6%を占めます(福岡市425施設、北九州市517施設。福岡で親のお墓・納骨堂を探すなら|市の合葬式墓所は6万4,000円。墓じまいする人には抽選のない別枠がある)。
同法の第10条第1項は「墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない」と定めています。同条第2項では、施設を変更するときも、廃止するときも許可が要るとされています。勝手にやめることはできません。
さらに条文が続きます。
- 第12条… 経営者は管理者を置き、その本籍・住所・氏名を市町村長に届け出る
- 第13条… 管理者は、収蔵の求めを受けたとき、正当の理由がなければ拒めない
- 第14条第2項… 納骨堂の管理者は、火葬許可証か改葬許可証を受理したあとでなければ焼骨を収蔵できない
- 第18条… 都道府県知事は、必要があると認めるとき、納骨堂に立ち入って検査させられる
「永代供養」という言葉が法律に無いのとは、対照的です。言葉の話は永代供養とは何か|「永代」はずっと個別に置くという意味ではないにまとめました。
納骨堂の数は市によって大きく違います。国の統計(2024年度末)で、松山市は77施設あり、うち75施設が宗教法人の経営です(松山で親のお墓を探すなら|市営の合葬墓は無く、市営墓地の貸付は1年で半分に。使用料48万円・管理料なし、本籍が松山なら市外の子も申し込める)。
墓地との違いは「埋蔵」と「収蔵」
同じ法律の中で、行為の名前が分かれています。
- 墳墓(第2条第4項)… 死体を埋葬し、または焼骨を埋蔵する施設
- 墓地(第2条第5項)… 墳墓を設けるために、墓地として許可を受けた区域
- 納骨堂(第2条第6項)… 焼骨を収蔵するために許可を受けた施設
墓地は「区域」で、納骨堂は「施設」です。そして、骨壺を土に納めるのが埋蔵、建物の中に置くのが収蔵です。
この違いは、あとで効いてきます。納骨堂は建物なので、土地や建物に抵当権が付くことがあります。墓地の区画にはない性質です。
なお、遺骨を移すときの手続きは同じです。第2条第3項は改葬を「埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」としています。納骨堂へ移すのも改葬です。手続きは墓じまいの手続きはどこへ出す?改葬許可の流れと必要書類にまとめました。

永代供養墓や樹木葬とは、比べる軸が違う
「納骨堂と永代供養、どちらがいいですか」という問いは成り立ちません。
- 納骨堂… 法律で定義された施設の種類
- 樹木葬… 焼骨の納め方の形式。仕組みと型、費用の実額は樹木葬とは何か|仕組み・3つの型・費用の実額と、永代供養との違いを国の約款で読む
- 永代供養… 供養と管理についての約束
三つは別の軸です。だから「永代供養の納骨堂」も「永代供養ではない納骨堂」も、どちらもあります。「永代供養」と書いてあるかどうかは、施設の種類とは無関係です。
比べるなら、次の3点を同じ表に並べてください。
- 個別に置かれる期間は何年か
- その期間が過ぎたらどうなるか(多くは合祀。合祀後は取り出せません)合祀の中身と公営の合祀墓の使用料は合祀墓とは何か|読み方、遺骨はどうなるか、永代供養との違い、公営7都市の使用料(9,100円〜12万円)に書きました
- 年間管理費があるか、いつまで払うか
樹木葬で見落とされやすい点は樹木葬で後悔する人は何を見落としたのか|契約前に確かめる5つの条件に、宗旨との関係は「永代供養」で後悔する前に|宗旨と、菩提寺との関係を確かめるにまとめてあります。
形の呼び方は、法律の区分ではない
ロッカー式、仏壇式、自動搬送式、位牌式。パンフレットにはこうした呼び名が並びます。
納骨堂は、都道府県知事等の許可を受けた施設です。同じ「納骨堂」の看板でも、ペットの遺骨を預かる施設にはこの許可がありません(ペットの遺骨を親のお墓に入れられるか|国は「動物に墓埋法は適用されない」と答えている。だから確かめる相手が変わる)。
注意:これらは業界で使われている言い方で、法律の区分ではありません。墓地埋葬法にも施行規則にも、こうした分類は出てきません。だから、同じ「ロッカー式」でも施設ごとに中身が違います。
見るべきなのは呼び名ではなく、次の点です。
- 1つの区画に何体まで納められるか
- お参りのとき、遺骨のそばまで行けるのか、共用の礼拝スペースで手を合わせるのか
- 開いている時間と休みの日(駅から近くても、閉まっていれば行けません)
- お盆や彼岸に混むかどうか(自動搬送式は、待ち時間が出ることがあります)
同じことが、遺骨を一緒に納める施設にも言えます。公営だけで20通りの呼び名があり、「永代供養塔」と名乗っているところはありません(永代供養塔とは何か|公営はどこも「永代供養塔」と呼んでいない。同じ中身が20通りの名前で案内されている)。
呼び名で選ばず、実際に行って確かめてください。寺院が受け入れる形も同じで、大阪の一心寺と四天王寺では骨壺の大きさや改葬の可否が違います(一心寺と四天王寺に納骨するには|一心寺は墓じまいの遺骨を受けられない。大阪で「納骨だけ」を頼む前に確かめること)。
費用に公的な相場統計はない
納骨堂の費用に、公的な統計はありません。
参考になるのは民間の調査です。鎌倉新書が2026年1月に行った第17回お墓の消費者全国実態調査(有効回答1,267件)では、購入したお墓の平均金額は納骨堂81.5万円、樹木葬71.7万円、一般墓152.0万円でした。
注意:この調査は「いいお墓」経由で購入した人が対象です。掲載されているのは民営の施設が中心なので、公営の納骨堂はこの平均に十分反映されていない可能性があります。相場として鵜呑みにしないでください。東京の都立の使用料は東京で親のお墓を探すなら|都立霊園の倍率・使用料・申込資格を数字でに、横浜市営の納骨堂(合葬1体7万4,800円)は横浜で親のお墓を探すなら|市営の新設墓園と納骨堂の募集数・使用料・申込資格に載せました。大阪市立服部納骨堂は最長3年の一時保管施設で、永代の納め先は瓜破霊園の合葬式墓地(1体5万円)になります(大阪で親のお墓を探すなら|市設霊園の合葬式墓地は1体5万円。倍率・使用料・申込資格を数字で)。
総額よりも、内訳の分かれ方を見てください。
- 使用料(最初に払う)
- 年間管理費(毎年払う。無い施設もあります)
- 納骨のたびにかかる手数料
- 銘板の彫刻代
- 合祀に移すときの費用
5番目を聞かない人が多くいます。個別の期間が終わったあと、合祀へ移す作業に別料金がかかる施設があります。契約前に聞いてください。
墓じまいから納骨堂へ移す場合、元の墓の撤去費用も別に要ります。内訳は墓じまいの費用はいくら?実際に払った733人の分布と高くなる3つの条件にまとめました。
元の墓の撤去は石材店に頼みます。費用は石材店ごとに違うので、納骨堂の契約と並行して、複数の見積もりで比べてください。見積もりを取っても契約の義務はありません。
公営の例を1つ挙げると、奈良市の寺山霊苑納骨堂は1体8万円(市外は15万円)で、年会費はかかりません(奈良で親のお墓を探すなら|市営の納骨堂は1体8万円で期限なし。親が奈良市民だったなら、市外に住む子も同じ8万円で申し込める)。
契約者は、帳簿と財務書類を見せてもらえる
ここが、この記事でいちばん役に立つところです。
墓地埋葬法の第15条第1項は、納骨堂の管理者に図面、帳簿、書類等を備えることを義務づけています。そして第2項がこう定めています。
「前項の管理者は、墓地使用者、焼骨収蔵委託者、火葬を求めた者その他死者に関係ある者の請求があつたときは、前項に規定する図面、帳簿又は書類等の閲覧を拒んではならない」
「焼骨収蔵委託者」とは、納骨堂に遺骨を預けている人のことです。つまり契約者です。
では、何を見せてもらえるのか。同法施行規則の第7条第2項に書かれています。
「墓地等の管理者は、前項に規定する帳簿のほか、墓地等の経営者の作成した当該墓地等の経営に係る業務に関する財産目録、貸借対照表、損益計算書及び事業報告書その他の財務に関する書類を備えなければならない」
財産目録、貸借対照表、損益計算書、事業報告書。これらを備えることが義務で、契約者が請求すれば閲覧を拒めません。
「経営は大丈夫ですか」と聞いても、答えは「大丈夫です」しか返ってきません。そうではなく、「帳簿と財務書類を見せてください」と言ってください。法律に根拠があります。
経営が破綻した納骨堂がある
なぜ帳簿の話をするのか。実例があるからです。
厚生労働省は令和4年10月28日、各都道府県・市町村・特別区の担当者あてに事務連絡を出しました。「墓地、納骨堂等の経営・管理について」です。そこにこう書かれています。
「今般、納骨堂が実質的に経営破綻し、遺骨の引き取りにも支障が生じているという事案が報道されています。同納骨堂については、所管自治体が条例に基づき立入検査したところ、墓地埋葬法等により備えておく必要がある財産目録、貸借対照表、損益計算書等の財務書類が備えられていなかったところです」
備えるべき書類が、無かった。そのうえで国は、都道府県等に「適正な墓地、納骨堂等の経営・管理が行われるよう、指導監督の徹底を改めてお願い」しています。
この事務連絡が参考として引いている条文が、法10条と法15条、そして施行規則7条です。つまり国自身が、許可と財務書類の閲覧を、この問題への備えとして示しています。
注意:契約する前に見せてもらってください。納めたあとでは、遺骨を移すのに改葬の手続きが要ります。
自治体によって、条件が違う
納骨堂の許可は都道府県(政令指定都市などは市)が出すので、上乗せの条件は地域で違います。
札幌市は「札幌市墓地等の経営の許可等に関する条例」を平成29年4月1日から施行し、市のホームページで経営主体をこう説明しています。「墓地又は納骨堂の経営は、永続性・非営利性が確保される必要がある等の観点から、経営主体を以下に該当する者に制限しています。いずれにおいても、営利目的での墓地又は納骨堂の販売はできません」
限られるのは、地方公共団体、市内に3年以上継続して事務所を有して活動している宗教法人、公益法人(納骨堂を除く)です。
同じページに、はっきりした一文があります。「他資本の協力を得て宗教法人の本来活動を超えた規模の納骨堂を計画し、実質的な経営を営利企業が行う、いわゆる「名義貸し」は違法行為です」
看板が寺でも、実際に動かしているのが別の会社ということがある。それは違法だと自治体が明記しています。
札幌市にはさらに、条例第25条に基づく墓地等財務状況審議会があり、経営しようとする者の財務の状況を調査審議します。公益型納骨堂と500壇以上の納骨堂を経営する宗教法人には、毎事業年度開始から4月以内の経営状況の報告が義務づけられています。
札幌市には納骨堂が256施設あり、墓地(45区域)の5倍以上です(厚生労働省、2024年度末)。市の合同納骨塚や、2026年度に始まった市営霊園の管理料と合わせた札幌での選び方は札幌で親のお墓・納骨堂を探すなら|合同納骨塚は1体9,100円。納骨堂256施設の見分け方と、市営霊園の管理料6,800円・今年の減免期限にまとめました。
名古屋市には、市が建てたロッカー形式の八事霊園納骨堂があり、10年で1基2万5,000円です(名古屋で親のお墓・納骨堂を探すなら|合葬式墓地は1体12万円、八事の市営納骨堂は10年2万5,000円。無縁墓の改葬が全国の4割を占める街で確かめること)。
すべての自治体に同じ仕組みがあるわけではありません。だからこそ、実家のある都道府県・市の担当課に、その施設が許可を受けているかを聞いてください。窓口は生活衛生を扱う課です。
静岡市は市営の合葬墓を持たず、愛宕霊堂(納骨堂)の永年収蔵(1体10万6,790円)がその役目を担っています。最初から合葬する方式で、遺骨は返りません(静岡で親のお墓を探すなら|市営に合葬墓・樹木葬は無い。受け皿は愛宕霊堂の永年10万6,790円、市外に住む子も申し込める)。
熊本市の桃尾霊堂は、短期納骨壇が1体1年5,000円、家族納骨壇が6体まで10年20万円の貸し出しで、市は「市でご供養やお引取りするものではありません」と書いています(熊本で親のお墓を探すなら|市営に合葬墓は無く、管理料はゼロ。熊本地震で墓石が壊れた区画は54%、修理は全額自己負担だった)。
北九州市は市内に納骨堂が517施設あり、市の意識調査でも持っている墓の形は「寺院の納骨堂」が31.1%で最も多い街です。市立霊園は永代供養をしていません(北九州で親のお墓を探すなら|市立霊園に合葬墓・永代供養は無い。納骨堂は517施設で政令市最多、受け皿は寺院)。
浜松市納骨堂は、合葬する永年納骨を生前に無料で登録できますが、残りの枠は2,556体で、市の有識者会議は生前登録の見直しを提言しています(浜松で親のお墓を探すなら|市営墓所の倍率は7年で5.9倍から1.6倍に。合葬する市の納骨堂は残り2,556体)。
公営の受け皿が無い市では、民間の納骨堂が主な移し先になります。長崎市は市営の合葬墓・納骨堂を持たず、市内の納骨堂は139か所です(長崎で親のお墓を探すなら|墓じまいは火葬100件に56件で全国の市で最多。市営の合葬墓は無く、市営墓地の空きは22区画)。

納骨堂のこと、調べたので共有します。
- 納骨堂は、経営に都道府県知事の許可が要る施設です
- 帳簿や財務書類(財産目録・貸借対照表など)を備えることになっていて、契約している人が見せてほしいと求めれば、断れない決まりです
- 実際に経営破綻した納骨堂では、その書類が無かったと国の文書に書かれています
- 契約の前に書類を見せてもらい、個別の期間・そのあと・年間管理費も書面で確かめたいです
- 見学に行くとき、一緒に来てもらえますか
よくある質問
比べる軸が違います。納骨堂は墓地埋葬法2条6項で定義された施設の種類で、経営に都道府県知事の許可が要ります。永代供養は供養と管理についての約束で、法律上の言葉ではありません。だから「永代供養の納骨堂」も「永代供養ではない納骨堂」もあります。確かめるのは呼び方ではなく、個別に置かれる期間と、そのあとどうなるかです。
まず自治体の担当課に相談してください。納骨堂の廃止には墓地埋葬法10条2項の許可が必要で、経営者が勝手にやめることはできません。ただし実際に、経営破綻して遺骨の引き取りに支障が出た事案があると国の事務連絡に書かれています。契約する前に、財務書類を見せてもらってください。それが法律に用意された確かめ方です。
どちらの呼び名も法律の区分ではないので、名前では選べません。見るのは、1区画に何体納められるか、遺骨のそばまで行けるか、開いている時間と休みの日、混む時期の待ち時間です。自動搬送式は機械で運ぶので、機械が故障したときや、お盆・彼岸の混雑時にどうなるかを聞いてください。
多くの納骨堂で契約できます。継承者を必要としない形が選ばれている理由もそこにあります。ただし、継承者がいない場合に個別の期間が短くなる契約や、契約者が亡くなった時点で合祀に移る契約があります。「継承者不要」という言葉だけで判断せず、その場合の扱いを書面で確かめてください。
合祀される前なら移せます。納骨堂から他の墳墓や納骨堂へ移すことは、墓地埋葬法2条3項の改葬にあたり、市町村長の改葬許可が必要です。手続きは墓じまいの手続きはどこへ出す?改葬許可の流れと必要書類にまとめました。ただし合祀されたあとは取り出せません。個別の期間がいつ終わるかを、契約時に確かめてください。
出典
- 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第2条、第10条、第12条、第13条、第14条、第15条、第18条
- 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和23年厚生省令第24号)第6条、第7条
- 厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課「墓地、納骨堂等の経営・管理について」(令和4年10月28日 事務連絡)
- 厚生省生活衛生局長通知「墓地経営・管理の指針等について」(平成12年12月6日 生衛発第1764号)
- 札幌市「墓地・納骨堂の経営許可について」(札幌市墓地等の経営の許可等に関する条例、平成29年4月1日施行)
- 鎌倉新書「第17回 お墓の消費者全国実態調査」2026年1月16日〜30日(有効回答1,267件)

