お墓

永代供養塔とは何か|公営はどこも「永代供養塔」と呼んでいない。同じ中身が20通りの名前で案内されている

杉野 一樹

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寺や霊園の案内に「永代供養塔」と書いてある。それが何なのかを調べようとすると、説明が施設ごとに違うことに気づきます。理由ははっきりしています。「永代供養塔」は法律にない呼び名で、中身を決める決まりもないからです。このサイトでは17の自治体・団体の募集案内を読みましたが、「永代供養塔」と名乗っているところは一つもありませんでした。同じ中身が、合同納骨塚、合葬式墓所、合祀室、共同墓……と、20通りの名前で案内されています。この記事は、その一覧を並べて、名前ではなく中身で比べる方法をまとめます。

この記事で分かること
  • 17の自治体・団体の募集案内に「永代供養塔」という呼び名は出てきません。同じ「他の人と一緒に納める施設」が20通りの名前で呼ばれています
  • 使用料は札幌市の9,100円から、新潟市開発公社の16万円まで。同じ「直接合葬」でも17倍の差があります
  • 比べるのは名前ではなく4点です。個別に置かれる期間、期間が終わったあとの扱い、取り出せるか、管理料。この4つを書面で確かめてください
実家じまいの5段階。お墓、仏壇・位牌、片付け、家をどうするか、解体。この記事はお墓
この記事は①お墓の中の、納め先の呼び名を整理する話です。

「永代供養」という言葉そのものの意味は永代供養とは何か|「永代」はずっと個別に置くという意味ではないに、遺骨が一緒にされる仕組みは合祀墓とは何か|読み方、遺骨はどうなるか、永代供養との違い、公営7都市の使用料(9,100円〜12万円)に書きました。

「永代供養塔」は法律にない

墓地、埋葬等に関する法律を読んでも、「永代供養塔」は出てきません。同じ法律に定義があるのは、墓地、納骨堂、火葬場の3つだけです。

  • 墓地… 墳墓を設けるために、都道府県知事等の許可を受けた区域
  • 納骨堂… 他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、都道府県知事等の許可を受けた施設
  • 火葬場… 火葬を行うために、都道府県知事等の許可を受けた施設

「塔」という区分はありません。だから「永代供養塔」と書かれていても、法律の上では墓地の中の墳墓か、納骨堂のどちらかです。どちらなのかは、案内を見ただけでは分かりません。

「永代供養」のほうも法令に出てこない言葉です。施設や寺院が使っている呼び名で、中身は施設ごとに決めています。だから「永代供養塔」は、法律にない言葉を2つ重ねた呼び名ということになります。

注意:これは「怪しい」という意味ではありません。呼び名が自由だから、施設ごとに中身が違うというだけです。確かめるべきものが増える、と考えてください。

17の自治体を調べたら、呼び名は20通りあった

このサイトでは、各都市の募集案内を読んで記事にしてきました。そこに出てきた「他の人と一緒に納める施設」の名前を並べます。

  • 札幌市… 合同納骨塚
  • 仙台市… 合葬式墓所
  • さいたま市… 樹林型合葬式墓地/合葬式墓地
  • 千葉市… 合葬式樹木葬墓地/合葬墓
  • 東京都… 合葬埋蔵施設/樹林型合葬埋蔵施設/樹木型合葬埋蔵施設
  • 横浜市… 合葬式樹林型納骨施設/合葬式樹木型納骨施設/合葬式慰霊碑型納骨施設
  • 新潟市開発公社… 樹木葬墓地の合同埋蔵
  • 長岡市… 共同墓
  • 名古屋市… 合葬式墓地(共同埋蔵墓)
  • 京都市… 深草墓園の永年納骨
  • 大阪市… 合葬式墓地
  • 神戸市… 鵯越合葬墓の合葬施設
  • 広島市… 高天原墓園の合葬墓
  • 福岡市… 合葬式墓所
  • 鹿児島市… 合葬墓の合葬室
  • 浦安市… 合祀室
  • 八千代市… 納骨壇

重なりを除いて数えると20通りです。そして「永代供養塔」と呼んでいるところは、一つもありませんでした。

この言葉は、民営の霊園と寺院で使われています。公営が使わないのは、条例や規則で施設の名前を定めているからです。逆に言えば、「永代供養塔」という言葉が出てきたら、民営か寺院の案内だと考えてよい。

注意:名前から中身は分かりません。たとえば「樹林型」と「樹木型」は、横浜市では別の施設です。樹林型は袋に納めて樹林の下の合同墓へ埋蔵し、樹木型はシンボルツリーを囲むマウンドの下に骨壺を直接埋蔵します。同じ市の中でも、名前が1文字違うだけで扱いが変わります。

公営の合葬施設の呼び名と使用料。札幌市合同納骨塚9,100円、京都市永年納骨2万円、鹿児島市合葬室3万8,000円、仙台市合葬式墓所4万7,400円、大阪市合葬式墓地5万円、福岡市合葬式墓所6万4,000円、さいたま市樹林型10万円、名古屋市共同埋蔵墓12万円、新潟市開発公社の合同埋蔵16万円
呼び名は9か所で8通り。使用料は9,100円から16万円までです。

使用料は9,100円から16万円まで

公営の使用料は公表されています。遺骨1体あたり、市民料金、最初から合葬する型で並べます。

いちばん安い札幌市と、いちばん高い新潟市開発公社では17倍の差があります。

差が出る理由は3つです。

  1. 最初から合祀するか、個別に置く期間があるか。個別の期間があるほど高くなります
  2. 粉状にするか、骨壺のままか。場所を取らない形ほど安い
  3. 管理料が使用料に含まれているか、別に取るか。横浜市は管理料6万6,000円が別です

民営はこの何倍にもなります。鎌倉新書の調査では、樹木葬の民営の平均購入価格は71.7万円でした(樹木葬とは何か|仕組み・3つの型・費用の実額と、永代供養との違いを国の約款で読む)。「永代供養塔」の案内に書かれた金額が高いか安いかは、公営の数字を持ってから判断できます。

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民営の霊園や寺院を比べるなら、複数の候補から資料を取り寄せて、同じ4点を並べて見るのが早い。見学の前に手元で比較できます。

名前ではなく、4点で比べる

確かめる項目は、公営でも民営でも同じです。

  1. 個別に置かれる期間は何年か
  2. その期間が終わったら、どうなるか(多くは合祀。合祀されると取り出せません)
  3. 途中で取り出せるか
  4. 管理料があるか、いつまで払うか

1番と2番が、いちばん誤解されます。「永代供養」と書いてあっても、永代にわたって個別に置かれるという意味ではありません。20年で区切る施設が多く、期間が終われば他の人の遺骨と一緒になります。

3番は、施設によって差があります。神戸市は合葬施設について、納骨された遺骨は返還できないと明記しています。一方、鹿児島市は個別埋蔵室に埋蔵している10年間なら返還できるとしています(使用料は戻りません)。同じ「10年保管」でも、戻せるかどうかが違います。

4番は、総額を聞いてください。永代供養料を一括で払えば以後の支払いがない施設もあれば、別に年間管理料が続く施設もあります。「永代供養料」と「管理料」は別の名目です。

「永代供養塔」の案内をもらったときの判断チャート。個別の期間、期間後の扱い、管理料の3つの質問
書面に3つが書いてあるかを、その場で確かめます。

「塔」という形そのものに意味はあるか

あります。ただし、費用や扱いを決めるものではありません。

塔の形をしているのは、地上の目印です。地下や内部に納骨する空間があり、地上にモニュメントが立っています。鹿児島市の合葬墓は、地下に埋蔵施設を置き、地上に上屋付きの参拝所と宗教色のないモニュメントを設置していると説明しています。公営がこう書くのは、宗教・宗派を問わないことを示すためです。

寺院の永代供養塔は、逆に宗派の形を取ります。塔婆の形、五輪塔、観音像など、その寺の考え方が表れます。宗旨が関わるので、実家の菩提寺との関係を先に確かめてください。浄土真宗のように「追善供養をしない」宗派もあり、言い方も頼む中身も変わります(「永代供養」で後悔する前に|宗旨と、菩提寺との関係を確かめる)。

形で選ぶと、あとで困ることがあります。見学して「立派な塔だった」と決めても、個別の期間が3年なのか20年なのかは、塔を見ても分かりません。紙をもらってください。

納骨堂との違いは「許可の種類」

「永代供養塔」と「納骨堂」は、比べる軸が違います。

納骨堂は、法律で定義された施設です。他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、都道府県知事等の許可を受けた施設をいいます。許可を受けているので、経営者や帳簿を確かめられます(納骨堂とは何か|許可が要る施設だから、帳簿を見せてもらえる)。

「永代供養塔」は、その施設の中にある設備の呼び名か、墓地の中の墳墓の呼び名です。だから「納骨堂の中の永代供養塔」も「墓地の中の永代供養塔」も成り立ちます。

確かめ方は決まっています。その施設が墓地として許可を受けているのか、納骨堂として許可を受けているのかを聞いてください。許可の種類が分かれば、どの規則で守られているかが分かります。

注意:ペットの遺骨を一緒に納めたい場合は、別の話になります。動物には墓地、埋葬等に関する法律が適用されないので、可否はその施設の規則しだいです(ペットの遺骨を親のお墓に入れられるか|国は「動物に墓埋法は適用されない」と答えている。だから確かめる相手が変わる)。

墓じまいから移すなら、申込資格を先に見る

「永代供養塔に移したい」と思っても、申込資格で止まることがあります。

公営には、改葬を受けないところがあります。鹿児島市は、民営や市外にある墓地からの改葬は対象にならないとしています。長岡市の共同墓も、改葬で申し込めるのは市営の区画墓地を返す人だけです(新潟で親のお墓を探すなら|市営の募集は15区画だけ。墓じまいの移転先は太夫浜霊苑の合同埋蔵1体16万円)。

逆に、返す人を優遇するところもあります。神戸市は市立墓園を墓じまいして移す人を半額にし、仙台市は市営墓地を返還する区分で使用料を1回分にまとめています(仙台で親のお墓を探すなら|2026年10月1日から随時申込みに。いずみ墓園の合葬式は4万7,400円、市営墓地を返す人はもっと安い)。福岡市は一般墓所を返す人に、公募とは別枠を用意しています(福岡で親のお墓・納骨堂を探すなら|市の合葬式墓所は6万4,000円。墓じまいする人には抽選のない別枠がある)。

寺院の永代供養塔にも制限があります。大阪の一心寺は、2021年1月1日から墓じまいで取り出した遺骨(改葬)の納骨を受けておらず、改葬受入証明も発行しません(一心寺と四天王寺に納骨するには|一心寺は墓じまいの遺骨を受けられない。大阪で「納骨だけ」を頼む前に確かめること)。

順番は決まっています。受入証明を出してもらえる先を確保してから、改葬許可を申請します(墓じまいの手続きはどこへ出す?改葬許可の流れと必要書類)。「永代供養塔がある」ことと「自分が申し込める」ことは別です。

よくある質問

よくある質問①

永代供養塔と合祀墓は同じものですか

重なりますが、同じ言葉ではありません。合祀墓は「多くの人の遺骨を一つの場所に一緒に納めるお墓」という中身を指す言葉です。永代供養塔は見た目と供養の約束を指す呼び名で、法律にも公営の募集案内にも出てきません。最初から合祀する永代供養塔もあれば、20年は個別に置いてから合祀する永代供養塔もあります。どちらなのかを確かめないと、合祀墓と同じなのかどうかも決まりません。

よくある質問②

永代供養塔の費用はいくらですか

公営に「永代供養塔」という名前の施設はないので、同じ中身の合葬施設で見ます。遺骨1体あたり、市民料金で、札幌市の合同納骨塚が9,100円、京都市の永年納骨が2万円(粉骨する場合)、大阪市の合葬式墓地が5万円、名古屋市が12万円、新潟市開発公社の合同埋蔵が16万円です。民営はこれより高く、樹木葬の平均購入価格は71.7万円という調査があります。金額を聞くときは、管理料が別かどうかも一緒に聞いてください。

よくある質問③

「永代」なら、ずっと個別に置いてもらえますか

置いてもらえません。「永代」は供養を続ける約束であって、個別に置く期間の長さではありません。多くの施設は個別の期間を年数で区切り、期間が終われば他の人の遺骨と一緒にします。公営でも、仙台市は10年保管後に合葬、さいたま市の合葬式墓地は20年間骨壺のまま保管してから共同合祀します。何年なのかは、施設ごとに書面で確かめるしかありません。

よくある質問④

永代供養塔に納めたあと、遺骨を取り出せますか

合祀されたあとは取り出せません。骨壺から出して他の人の遺骨と一緒にするので、誰の骨かを分けられなくなります。個別に置かれている期間なら取り出せる施設があります。鹿児島市は個別埋蔵室にある10年間に限って返還できるとしています(使用料は戻りません)。一方、神戸市は合葬施設について返還できないと明記しています。取り出す可能性が少しでもあるなら、個別の期間がある型を選んで、その年数を確かめてください。

よくある質問⑤

墓じまいした遺骨を永代供養塔に移せますか

移せるところと、移せないところがあります。公営では、鹿児島市が民営・市外の墓地からの改葬を対象外とし、長岡市の共同墓は市営の区画墓地を返す人だけを改葬の対象にしています。寺院でも、大阪の一心寺は2021年1月1日から改葬の納骨を受けていません。逆に、神戸市・仙台市・福岡市のように、市営墓地を返す人を安くしたり別枠を用意したりする自治体もあります。受入証明を出してもらえるかを先に確かめてから、改葬許可を申請してください。

よくある質問⑥

永代供養塔は、寺の檀家にならないと使えませんか

施設によります。公営の合葬施設は宗教・宗派を問いません。寺院の永代供養塔は、檀家であるかどうかで条件が変わることがあり、宗派の作法も関わります。「永代」と言っても、実際には三十三回忌や五十回忌までと区切っている寺があります。法要をいつ、何回行うのかを聞いてください。宗旨によっては「永代供養」という言い方をしません。浄土真宗本願寺派は追善供養をしないという立場で、本山に納める道があります。

家族に送る用(コピーしてLINEへ)

「永代供養塔」について調べたので共有します。

  • 法律にない呼び名で、中身は施設ごとに違います。17の自治体・団体の募集案内を見ましたが、「永代供養塔」と名乗っているところは一つもありませんでした
  • 同じ中身が、合同納骨塚・合葬式墓所・合祀室・共同墓など20通りの名前で呼ばれています
  • 公営の使用料は1体9,100円(札幌市)から16万円(新潟市開発公社)。民営の樹木葬の平均は71.7万円という調査があります
  • 比べるのは名前ではなく4点です。個別に置く期間/期間後どうなるか/取り出せるか/管理料
  • パンフレットに4点が書いてあるか、一緒に見てもらえますか

出典

  • 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第2条
  • 札幌市「合同納骨塚について」/京都市「深草墓園」/浦安市・八千代市・鹿児島市・千葉市・仙台市・大阪市・神戸市・広島市・福岡市・さいたま市・横浜市・名古屋市・長岡市の令和7〜8年度の募集案内
  • 東京都「令和8年度 都立霊園の使用者を募集」
  • 公益財団法人 新潟市開発公社「太夫浜霊苑 樹木葬墓地のご案内」(2026年)
  • 株式会社鎌倉新書「第7回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」
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杉野 一樹(ペンネーム)
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