実家を壊したら1か月以内|建物滅失登記の期限と10万円以下の過料。名義が親のままでもできる
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実家を解体したら、工事が終わって終わりではありません。建物が滅失したことを登記所に届ける「建物滅失登記」を、滅失の日から1か月以内に申請しなければなりません。怠ると10万円以下の過料です。相続登記の3年という期限は知られるようになりましたが、こちらは1か月です。この記事は、法律の条文と法務局の記載例から、期限・書類・出し先を整理します。
- 期限は滅失の日から1か月以内(不動産登記法57条)。正当な理由がないのに怠ると10万円以下の過料です(164条)
- 名義が親のままでも、相続人が申請できます(30条)。建物を壊すために相続登記を先に済ませる必要はありません
- 法務局の記載例に登録免許税の欄はありません。未登記の家屋なら、登記所ではなく市へ届けます

解体費用そのものは家の解体費用は坪数で決まらない|見積書で見るべき7項目に、補助金は空き家の解体に補助金は使える?受付は1か月、税金は上がるに書きました。
期限は1か月。相続登記より短い
不動産登記法の条文は、こうです。
「建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(略)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。」(第57条)
罰則も同じ法律にあります。第164条は、第57条などの「規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する」としています。
実家じまいで出てくる登記の期限を並べると、こうなります。
- 建物滅失登記… 滅失の日から1か月以内(57条)。過料は10万円以下
- 相続登記… 取得を知った日から3年以内(76条の2)。過料は10万円以下
- 新築した建物の表題登記… 所有権の取得の日から1か月以内(47条1項)
相続登記の3年が広く知られるようになった一方で、滅失登記の1か月はあまり語られません。解体工事が終わった日から数えて1か月です。引き渡しの書類を受け取ってから動き出すと、意外に余裕がありません。
名義が親のままでも申請できる
実家じまいでよくあるのは、建物の名義が亡くなった親のままという状態です。「先に相続登記をしないと壊せないのでは」と止まってしまう人がいます。
不動産登記法30条が、この答えです。
「表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。」
建物滅失登記は「表示に関する登記」です。つまり、相続登記が済んでいなくても、相続人が建物滅失登記を申請できます。このとき相続を証する書面を添えます。
相続登記そのものの期限と手続きは相続登記の期限は2027年3月31日|過料が来るのは「一部だけ登記した」とき。親の不動産を洗い出す証明書が始まったに書きました。土地のほうは名義を直さないと売れないので、こちらは別に進めることになります(相続した実家を売ると税金はいくら?3,000万円控除の条件と期限)。

書くこと、添えるもの
法務局は申請書の記載例を公開しています。登記の目的は「建物滅失」の5文字です。

添付するのは「建物滅失証明書」です。解体した工事請負人が作る書面で、記載例の様式には次の項目が並んでいます。
- 1 建物の表示(所在・家屋番号)
- 2 滅失の理由(「令和元年6月28日取壊し」のように日付と理由)
- 3 所有者(住所・氏名)
- 「上記のとおり建物を取り壊したことを証明します。」の一文と、証明の日付
- 工事請負人の住所・名称・代表者名と印
ここで一つ、手間が減る書き方があります。法務局の注記によると、工事請負人が法人の場合、その代表者の資格を証する書面(登記事項証明書など)と代表者の印鑑証明書を添えるのが原則です。ところが、申請書に法人の会社法人等番号を記載すれば、この2つの添付を省略できます(その法人が現在、登記所に印鑑を登録している場合に限ります)。
解体を頼むときに、業者へこう伝えておいてください。
- 工事が終わったら建物滅失証明書をください
- 御社の会社法人等番号を教えてください
もう一つ、省ける記載があります。申請書に不動産番号(登記事項証明書の先頭にある13桁)を書けば、所在・家屋番号・種類・構造・床面積の記載を省略できます。
申請人の欄には、登記事項証明書の甲区(所有権に関する事項欄)に記録されている現在の登記名義人の住所と氏名を書き、認印を押します。甲区がない登記記録なら、表題部の末尾に記録されている所有者です。登記上の住所が今の住所と違う場合は、住民票の写しや戸籍の附票の写しを添えます。引っ越しを重ねているなら、経過がつながる資料が要ります。
注意:申請書が複数枚にわたる場合は契印をします。申請人が2人以上いるときは、そのうち1人が契印すれば足ります。
記載例の申請書に、登録免許税の欄はありません。相続登記の申請書様式には登録免許税の欄があるので、ここが違います。自分で出すなら、かかるのは登記事項証明書の手数料や郵送代といった実費です。
未登記の家屋なら、出し先は市になる
古い実家では、建物が登記されていないことがあります。増築部分だけ未登記ということもあります。
登記されていない家屋を取り壊した場合は、登記所ではなく市へ届け出ます。市によって様式の名前は違いますが、「家屋滅失届出書」を資産税の担当課へ出す、という形が一般的です。
千葉市・仙台市・さいたま市・名古屋市の案内を読むと、扱いはこう整理できます。
- 登記されている家屋… 登記所へ建物滅失登記を申請する。市への届出は不要とする市もある
- 未登記の家屋… 市(市税事務所の資産税課など)へ家屋滅失届を出す
- どちらも、市が現地確認を行うことがある
登記所と市の二重手続きではなく、どちらの入口かが分かれるという理解が近いです。ただし要否は市で違うので、解体前に課税明細書を見て、担当課に一度確かめてください。
なお、登記官は職権で表示に関する登記をすることができます(不動産登記法28条)。しかし職権でされることがあるからといって、申請の義務がなくなるわけではありません。
登記のない納屋や倉庫を壊したときも、市への届出が要ります。壊す費用に補助が出るかは納屋・蔵・倉庫だけの解体に補助金は出るか|19市の要綱を読むと「だけ」は0市。母屋と一緒に全部壊すのが条件の市が16に書きました。
12月に壊すか、1月に壊すか
解体の時期を選べるなら、固定資産税の賦課期日を意識する価値があります。
地方税法359条は「固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする」と定めています。市の案内も「年の途中で取り壊した場合でも、その年度の固定資産税は全額課税される」としています。
ここで、家屋と土地が逆方向に動きます。
- 年内(12月中)に壊す… 翌年度から家屋分の固定資産税が消える。ただし土地の住宅用地の特例も翌年度から外れる
- 年明け(1月2日以降)に壊す… その年度は家屋分も課税される。ただし土地の住宅用地の特例はその年度に残る
住宅用地の特例は、地方税法349条の3の2で、住宅用地は課税標準が価格の3分の1、200平方メートル以下の小規模住宅用地は6分の1とされています。
つまり「年内に壊せば得」とは限りません。家屋の評価額が大きければ年内に壊すほうが有利になりやすく、土地の評価額が大きければ年明けのほうが有利になりやすい。課税明細書で家屋と土地それぞれの評価額を見てから決めてください。更地にしたあとの税額の話は空き家の解体に補助金は使える?受付は1か月、税金は上がるに書きました。
解体に市の補助金を使う場合は、交付決定のあとでないと契約できません。工事の時期はその分遅れるので、政令市20市の受付の時期を空き家の解体補助金を政令市20市で比べた|制度があるのは15市、上限は20万〜100万円。千葉市と静岡市は10月の時点で今年度の受付が終わっていたで確かめてから決めてください。
東京23区で区の助成を使う場合は、12月上旬に締め切る区もあります。区ごとの締切は東京23区の空き家解体の助成を区ごとに比べた|区全域で使えるのは17区、上限は50万〜200万円。品川区は工事費の全額、千代田区と港区は見つからなかったで確かめてください。
市の補助金を使う場合、受付が年度の前半で止まる市もあります。東京都の市部の受付状況は多摩26市の空き家解体の助成を市ごとに比べた|使える制度があるのは13市、上限は30万〜100万円。八王子市は受付終了、府中市・西東京市は住んでいる家だけにまとめました。
千葉県の市の補助金は、夏までに受付が終わる市が多くあります。37市の受付状況は千葉県の37市の空き家解体補助金を市ごとに比べた|使える制度があるのは15市、上限は20万〜100万円。10月の時点で6市が今年度の受付を終えていたにまとめました。
進める順番
- 課税明細書と登記事項証明書で、建物が登記されているかを確かめる
- 登記されているなら、名義人が誰か、住所が今と同じかを見る
- 解体の契約時に、建物滅失証明書と会社法人等番号を頼んでおく
- 工事が終わったら、取壊しの日を控える。ここから1か月です
- 法務局の記載例に沿って申請書を作り、管轄の登記所へ出す(未登記なら市へ)
工事に入る前の石綿の調査と届出はアスベストの調査費は削れない|法が発注者に費用負担を求めている。80平方メートルで報告が立つに書きました。吹付け石綿があると、届出から14日待つことになります。
実家を壊したあとの手続きのこと、調べたので共有します。
- 建物を壊したら、1か月以内に「建物滅失登記」を出す決まりです
- 怠ると10万円以下の過料になると法律に書いてあります
- 名義がお父さんのままでも、相続人の私たちが申請できるそうです
- 解体業者に「建物滅失証明書」と「会社法人等番号」を頼んでおくと、書類が減ります
- 工事の日程を決める前に、一度話せますか
よくある質問
正当な理由がないのに怠ると、10万円以下の過料です。不動産登記法57条が滅失の日から1か月以内の申請を義務づけ、164条が過料を定めています。登記が残っていると、家屋の固定資産税が課され続けたり、土地を売るときに買主から求められたりします。登記官が職権で登記することもありますが、申請の義務がなくなるわけではありません。
できます。不動産登記法30条は、登記名義人について相続があったときは、相続人その他の一般承継人が表示に関する登記を申請できるとしています。建物滅失登記は表示に関する登記なので、相続登記を先に済ませる必要はありません。申請には相続を証する書面を添えます。
法務局の記載例に登録免許税の欄はありません。自分で申請するなら、登記事項証明書の手数料や郵送代といった実費だけです。土地家屋調査士に頼む場合は報酬がかかりますが、報酬額の公的な統計はありません。見積もりを取って比べてください。
市へ家屋滅失届を出します。登記所ではなく、市の資産税の担当課が窓口です。様式の名前や要否は市によって違い、滅失登記をした場合は市への届出が不要とする市もあります。課税明細書を確認して、担当課に確かめてください。
出典
- 不動産登記法(平成16年法律第123号)第28条・第30条・第47条・第57条・第164条(e-Gov法令検索)
- 法務局「不動産登記の申請書様式について」建物の滅失の記載例(注1〜注6、建物滅失証明書の参考様式)
- 地方税法(昭和25年法律第226号)第349条の3の2・第359条(e-Gov法令検索)
- 千葉市・仙台市・さいたま市・名古屋市の固定資産税に関する案内(家屋を取り壊した場合、未登記家屋の滅失届)

