親の未支給年金は、別居の子でも受け取れる|決め手は「生計同一」の申立書。仕送りの通帳や施設の領収書が証明になる
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親が亡くなって、実家のことを考え始める前に、一つ片付けておく手続きがあります。年金です。日本年金機構は「年金は亡くなった月分まで支払われます」としていて、まだ振り込まれていない分は、遺族が請求して受け取れます。これが未支給年金です。ただし受け取れるのは、親と「生計を同じくしていた」遺族だけ。実家を離れて暮らしている子が、ここで諦めてしまうことがあります。この記事は、年金機構の案内と申立書の様式を読んで、別居の子が何をそろえればいいかを整理します。
- 年金は亡くなった月分まで支払われます。まだ振り込まれていない分は、生計を同じくしていた遺族が未支給年金として請求できます
- 別居していた子は「生計同一関係に関する申立書(様式3)」を出します。別居の理由、経済的援助、音信・訪問の状況を書き、原則として第三者の証明が要ります
- 仕送りの通帳の写しや、親の入院・入所の証明があれば、第三者の証明は要りません。年金機構がそうした書類を「生計同一関係証明書類」として挙げています

実家じまい全体の順番は実家じまいは何から始める?5つの段階と、かかるお金の全体像に、葬儀費用と健康保険から出る5万円は葬儀費用は誰が払い、どこまで引けるのか|故人の預金・相続税・相続放棄に書きました。
年金は亡くなった月分まで出る。その残りが未支給年金
日本年金機構は「年金は亡くなった月分まで支払われます」と明記しています。
ところが、亡くなった本人はもう受け取れません。そこで、次の2つが「未支給年金」になります。
- 亡くなったときに、まだ振り込まれていなかった年金
- 亡くなった日より後に振り込まれた年金のうち、亡くなった月分までの年金
これを受け取れるのが、亡くなった人と生計を同じくしていた遺族です。請求しないと受け取れません。
反対に、亡くなった月より後の分が振り込まれてしまうこともあります。年金機構は、届出が遅れると年金を多く受け取りすぎることになり、後で返すことがあるとしています。さらに、未支給年金を請求しても、亡くなった方の口座を解約していないと入金される場合があるとも書いています。受け取るべき分は請求し、受け取りすぎた分は返す。そのために、手続きは早いほうがいいのです。
年金のほかに、健康保険の葬祭費も申請しないと出ません。額は自治体によって2万円から7万円です(葬儀費用の補助金「葬祭費」は2万円から7万円|47都道府県の後期高齢者医療と、政令市・東京23区の国保を公式ページで比べた)。

死亡届は10日(国民年金は14日)。ただし省略できることが多い
年金を受けていた人が亡くなったら、死亡の届出が必要です。期限は厚生年金が10日以内、国民年金が14日以内です。
ただし、日本年金機構にマイナンバー(個人番号)が収録されている人は、原則として「年金受給権者死亡届(報告書)」を省略できます。同じ14日以内には、介護保険や後期高齢者医療の届けもあります(親が亡くなったあとの手続きと期限の一覧|7日・14日の届出から、3か月・10か月・3年まで。取り返しがつかないのは3か月)。
未支給年金を請求する場合は、届出と請求が1枚になっています。用紙の名前は「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」。これを出せば、死亡の手続きと未支給年金の請求が一度に済みます。
提出先は年金事務所で、郵送が基本です。対面で相談したい場合は、予約して年金事務所か街角の年金相談センターへ行きます。e-Govの電子申請でも出せます。
受け取れる遺族の順位は7つ
年金機構が示す順位です。亡くなった当時、生計を同じくしていた、
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- その他、1〜6以外の3親等内の親族
先の順位の人がいると、後の順位の人は受け取れません。父が亡くなって母が健在なら、母が請求します。同じ順位の人が2人以上いる場合は、そのうち1人が代表して請求します。きょうだいで話し合って、誰が請求するか決めてください。
実家じまいで多いのは、両親のうち後に亡くなった親の分を、子が請求する場面です。このとき子は第2順位になります。
別居していた子は「様式3」の申立書を出す
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
「生計を同じくしていた」は、同居していたという意味に限りません。年金機構は、住民票上の住所が違う場合の申立書を用意していて、別居の場合の書き方が決まっています。
配偶者・子が使うのは「生計同一関係に関する申立書(様式3)」です。別居していて住民票も別住所だった場合は、次の3点を書きます。
- 別居していた理由
- 経済的援助の状況… 亡くなった親から自分への援助の有無・回数・内容。それが「なし」なら、自分から親への援助の有無・回数・内容
- 音信・訪問の状況… 手段(訪問・電話・メールなど)、訪問の回数、音信・訪問の内容
そして原則として、第三者の証明が要ります。証明する人は、請求者と亡くなった親の民法上の3親等内の親族ではない人です。法人(会社、病院、施設など)として証明することもできます。
注意:父母・孫・祖父母・兄弟姉妹など、配偶者・子以外が使う「様式4」には、音信・訪問の欄がありません。書くのは経済的援助の有無・回数・金額・内容です。子の申立書にだけ、音信・訪問を書く欄があります。

仕送りの通帳や施設の領収書があれば、第三者の証明は要らない
第三者の証明は、頼む相手を探すのが大変です。年金機構は、代わりに出せる書類を「生計同一関係証明書類」として挙げていて、これを出せば申立書への第三者証明の記入は不要になります。
配偶者または子の場合の証明書類は、次のどれかです。
- 健康保険などの被扶養者になっている場合… 医療保険の資格情報を印刷したもの、または資格確認書の写し
- 給与計算上、扶養手当などの対象になっている場合… 給与簿や賃金台帳の写し
- 税法上の扶養親族になっている場合… 源泉徴収票や課税台帳の写し
- 定期的に送金がある場合… 預金通帳、振込明細書、現金書留封筒などの写し
- 単身赴任による別居… 辞令の写しなど
- 就学による別居… 学生証の写しなど
- 病気療養・介護による別居の場合… 入院・入所証明、入院・入所に係る領収書などの写し
実家じまいの場面で効くのは、「定期的な送金」と「病気療養・介護による別居」の2つです。
- 親に毎月仕送りしていた… その振込の記録が残る通帳の写し
- 親が施設や病院に入っていて、その費用を自分が払っていた、あるいは入所の手続きをしていた… 入院・入所証明や領収書の写し
注意:「病気療養・介護による別居」は、配偶者・子の場合にだけ挙がっている書類です。父母・孫・祖父母・兄弟姉妹などの場合の一覧には入っていません。親が施設に入っていたなら、その書類は捨てずに取っておいてください。実家の片付けで捨ててしまいやすい書類です。
- 年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書
- 亡くなった親の年金証書
- 自分のマイナンバーが確認できる書類
- 親との続柄が分かる書類(戸籍謄本か法定相続情報一覧図の写し)
- 親の住民票の除票、自分の世帯全員の住民票の写し(マイナンバーの記入などで省略できる場合あり)
- 生計同一関係に関する申立書(様式3)
- 生計同一関係証明書類(仕送りの通帳の写し、入院・入所証明など)。出せない場合は申立書に第三者の証明
- 受け取る口座が分かる書類(公金受取口座なら不要)
戸籍謄本と住民票は、亡くなった日より後に交付されたものが必要です。親の戸籍は、2024年3月から最寄りの役所の窓口でもまとめて請求できます(親の戸籍の集め方|2024年からは最寄りの役所で出生まで請求できる。法定相続情報一覧図にすれば写しは無料で使い回せる)。
受け取った未支給年金は一時所得
税金の扱いも、年金機構が書いています。亡くなった親自身の所得税(準確定申告)は、これとは別の手続きです(親の準確定申告は要るか|年金だけなら多くは不要。ただし医療費が多かった年は戻ることがあり、戻ったお金は相続財産になる)。
未支給年金は、受け取った人の一時所得になります。確定申告が必要になる場合がありますが、その年に受け取った一時所得の合計が50万円以下なら、確定申告は要りません。
税金の上では、受け取った遺族本人の所得として扱われます。相続放棄を考えているなら、未支給年金を受け取ってよいかも含めて、先に家庭裁判所や専門家に確かめてください(借金の調べ方は親の借金を調べる方法|信用情報3機関の開示は合計6,080円。ただし「載っていない」は「借金がない」ではない)。
口座は止める。ただし順番に気をつける
年金機構は、未支給年金を請求しても亡くなった方の口座を解約していないと入金される場合があると書いています。
口座に入った年金のうち、亡くなった月より後の分は返すことになります。だから親の年金の振込口座は、金融機関に死亡を伝えて止める必要があります。
ただし、口座が止まると公共料金の引き落としも止まります。実家の電気・ガス・水道・固定資産税が親の口座から引き落とされているなら、止める前に引き落とし先を変えるか、止まったあとに届く請求書で払えるようにしておいてください。亡くなった年の固定資産税の残りは、相続人が払います(親が亡くなった後の実家の固定資産税|払うのは相続人。登記が3か月で終わらないなら「現所有者申告」を出す)。空き家になった実家の管理が、ここで途切れることがあります(相続した空き家を放置すると|「管理不全空家」の判断基準と、年に何をすればいいか)。
注意:故人の預金から葬儀費用を払う場合は、口座を止める前後で方法が変わります。民法909条の2で、一定額までは相続人が単独で払い戻せます(葬儀費用は誰が払い、どこまで引けるのか|故人の預金・相続税・相続放棄)。
親の年金のこと、調べたので共有します。
- 年金は亡くなった月の分まで出ます。まだ振り込まれていない分は、家族が請求して受け取れます(未支給年金)
- 受け取れるのは「生計を同じくしていた」家族です。別居していた子でも、申立書(様式3)を出せば請求できます
- 仕送りしていた通帳の写しや、親が施設・病院に入っていたときの証明や領収書があれば、第三者の証明がいりません。これは捨てずに取っておいてください
- 親の口座を止めないと、もらいすぎた年金を後で返すことになります。ただし電気や固定資産税の引き落としも止まるので、先に払い方を変えたいです
- 誰が請求するか、決めませんか
よくある質問
受け取れる場合があります。未支給年金を受け取れるのは、亡くなった当時、生計を同じくしていた遺族で、同居していたことに限りません。別居していた子は「生計同一関係に関する申立書(様式3)」を出し、別居の理由、経済的援助の状況、音信・訪問の状況を書きます。原則として3親等内の親族ではない第三者の証明が要りますが、仕送りの通帳の写しや入院・入所証明などの「生計同一関係証明書類」を出せば、第三者の証明は不要です。認められるかどうかは年金機構が個別に判断します。
亡くなった当時、生計を同じくしていた遺族で、順位は(1)配偶者(2)子(3)父母(4)孫(5)祖父母(6)兄弟姉妹(7)その他3親等内の親族です。先の順位の人がいれば、後の順位の人は受け取れません。同じ順位の人が2人以上いれば、1人が代表して請求します。父が亡くなって母が健在なら母が、両親とも亡くなっていれば子が請求します。
厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内です。ただし日本年金機構にマイナンバーが収録されている人は、原則として「年金受給権者死亡届(報告書)」を省略できます。未支給年金を請求するなら、「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」の1枚で、死亡の手続きと請求が一度に済みます。提出先は年金事務所で、郵送が基本です。
止める必要があります。ただし順番に気をつけてください。年金機構は、未支給年金を請求しても亡くなった方の口座を解約していないと入金される場合があり、届出が遅れると受け取りすぎた分を後で返すことがあるとしています。一方で、口座が止まると公共料金や固定資産税の引き落としも止まります。実家の支払いが親の口座から出ているなら、止める前に払い方を変えておいてください。
受け取った人の一時所得になります。年金機構は、確定申告が必要になる場合があるとしたうえで、その年に受け取った一時所得の合計が50万円以下なら確定申告は不要と書いています。詳しくは税務署に確かめてください。受け取った遺族本人の所得として扱われる点も覚えておいてください。
入院・入所証明や、入院・入所に係る領収書などの写しです。年金機構は、配偶者または子の場合の「生計同一関係証明書類」として「病気療養・介護による別居の場合」を挙げ、これらの書類を示しています。これを出せば、申立書への第三者証明の記入は不要になります。施設費を振り込んでいた通帳の写しも「定期的に送金がある場合」の書類になりえます。実家の片付けで捨てやすい書類なので、先に取り分けてください。
出典
- 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」(2026年4月1日更新)
- 日本年金機構「『年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書』のご提出について」(2025年11月4日更新)
- 日本年金機構「生計同一関係に関する申立書(様式3・様式4)」「生計同一関係証明書類等について」

