墓じまいに補助金はある?対象になるのは公営墓地の返還だけ
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墓じまいの費用を調べていると「補助金」という言葉が出てきます。使えるなら使いたい、というのが正直なところだと思います。
- 「墓じまい補助金」という名前の制度はほとんどなく、実体は公営墓地を返してもらうための支援です
- そのため寺院墓地と民営霊園にあるお墓は、自治体の補助の対象になりません
- 対象になる場合でも、浦安市は上限15万円、市川市は区画の広さで7万5,000円〜44万円と幅があります

実家じまい全体の流れと、先に確かめる期限は実家じまいは何から始める?5つの段階と、かかるお金の全体像にまとめています。
「墓じまい補助金」という制度は、ほとんど存在しない
先に結論を書きます。墓じまいそのものにお金を出す制度は、ほとんどありません。あるのは、自治体が自分の持っている墓地を返してもらうための支援です。
名前も「墓じまい補助金」ではありません。浦安市は「墓所返還者等支援事業」、市川市は「霊園一般墓地返還促進事業」と呼んでいます。どちらも返還という言葉が入っています。ここに制度の性格が出ています。
つまり、補助を出す相手は「墓じまいをする人」ではなく、「その自治体の墓地を使っている人」です。この違いが、対象になるかどうかを決めます。
検索して出てくるページの多くは、補助金がある前提で書かれています。書いているのは石材店や葬儀社、墓じまいの代行業者です。まず自分が対象なのかどうかを確かめるほうが先です。
墓じまいそのものは急速に増えています。厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、遺骨を移す改葬の件数は令和3年度の118,975件から、令和5年度には166,886件になりました。2年で4割の増加です。制度が追いついていない、というのが現在地です。

分かれ目は「お墓がどこにあるか」
補助の対象になるかは、お墓の場所でほぼ決まります。運営しているのが誰かを確かめてください。
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| 墓地の種類 | 運営しているのは | 自治体の補助 |
|---|---|---|
| 公営墓地・市営霊園 | 市区町村 | 制度があれば対象になる |
| 寺院墓地 | 寺 | 対象外 |
| 民営霊園 | 宗教法人・公益法人など | 対象外 |
寺院墓地と民営霊園は、自治体の補助の対象になりません。自治体が返してほしいのは自分の土地だからです。他人が経営する墓地の撤去費を、市区町村が肩代わりする理由がありません。
自分のお墓がどれに当たるか分からないときは、年間の管理料を誰に払っているかを見てください。市区町村の口座に払っていれば公営、寺に払っていれば寺院墓地です。使用許可証や納入通知書が残っていれば、そこに運営者の名前が書いてあります。
注意:ここで対象外と分かった方は、この先を読む必要はありません。費用を下げる手は補助金以外にもあります。この記事の最後にまとめてあります。
実際にある制度の中身:浦安市と市川市
制度がある自治体でも、金額と条件は別物です。公表資料で確認できた2市を挙げます。
千葉県浦安市「墓所返還者等支援事業」
浦安市は、墓地公園の墓所を返す人に対して墓石撤去費などの助成を上限15万円で出しています。対象は、通常墓所(1区画3.0平方メートル)または小型墓所(1区画1.5平方メートル)の使用許可を受けている人です。
あわせて、移した遺骨の納め先として合葬式墓地(合祀室)を1体35,000円で使える制度があります。生前予約も同じ金額です。
仙台市は、返還する人の使用料を1回にまとめています。市営墓地を返して合葬式墓所に改葬する区分なら、永代使用料3万8,000円は遺骨が何体でも1回分で、あとは1体9,400円です(仙台で親のお墓を探すなら|2026年10月1日から随時申込みに。いずみ墓園の合葬式は4万7,400円、市営墓地を返す人はもっと安い)。
福岡市には、抽選を経ずに申し込める枠があります。市立霊園の一般墓所を返還する人は、年1回・抽選の公募とは別に、合葬式墓所の直接合葬(1体6万4,000円)へ申し込めます。利用許可の日から3年以内に返す場合は、一般墓所の使用料の半額が戻ります(管理料は戻りません。福岡で親のお墓・納骨堂を探すなら|市の合葬式墓所は6万4,000円。墓じまいする人には抽選のない別枠がある)。
補助金ではなく、納め先の使用料を下げる形もあります。神戸市は、市立墓園を返還するために遺骨を改葬する人と生活保護を受けている人について、鵯越合葬墓の合葬施設の使用料(1体5万円)を半額の2万5,000円に減額しています(神戸で親のお墓・納骨堂を探すなら|市は一般墓の新規募集をやめた。鵯越合葬墓は5万円、墓じまいからの改葬は半額)。
申請には、補助金交付申請書のほかに見積書、誓約書、戸籍謄本、使用許可証の写しなどが必要です。見積書を求めるということは、工事の前に申請する流れになります。
千葉県市川市「霊園一般墓地返還促進事業」
市川市は、原状回復にかかる費用の助成額を区画の種類ごとに決めています。広い区画ほど撤去に手間がかかるためです。
- 第3種普通墓地(12.0平方メートル)… 440,000円
- 第2種普通墓地(6.0平方メートル)… 290,000円
- 第1種普通墓地(4.0平方メートル)… 240,000円
- 第4種普通墓地(2.5平方メートル)… 210,000円
- 芝生墓地(第1種・第4種・第5種)… 75,000円
墓地の使用料も一部戻ります。通常は納めた額の4分の1、使用許可から3年以内に未使用のまま返す場合は2分の1です。移した遺骨は合葬式墓地に納められ、1体71,000円、2体142,000円で、生前と遺骨をあわせて2体までとなっています。
ただし市川市は、予算額に達したとして受付を終了したと公表しています。制度があることと、いま申請できることは別です。

申請には順番がある。工事を先に契約しない
補助金は後払いです。撤去費はいったん自分で払い、あとから戻ります。手元の資金の計画は、補助を当てにせずに立ててください。
順番は次のようになります。
- 墓地の運営者を確かめる。市区町村でなければここで終わりです
- 窓口に制度の有無と、今年度の受付状況を聞く。予算に達すると年度の途中でも締まります
- 石材店から見積もりを取る。申請に見積書が要る自治体があります
- 交付申請を出す。浦安市は誓約書と戸籍謄本も求めています
- 交付決定を受けてから、撤去工事を契約する
- 工事が終わったら実績報告と請求を出す
注意:先に工事を始めると対象外になる制度があります。順番は自治体ごとに違うので、契約する前に「いま契約してよいか」を窓口で確かめてください。ここを飛ばすと、条件を満たしていても受け取れません。
窓口は、墓地を担当する部署です。名前は自治体ごとに違い、太田市は花と緑の課、水戸市は衛生事業課が担当しています。市区町村の代表番号にかけて「市営墓地の返還について」と言えばつないでもらえます。
3番で石材店から見積もりを取るときに確かめる項目は墓じまいの業者はどう選ぶ?石材店・代行業者・行政書士の違いと、見積書で確かめる8つのことにまとめています。
なぜ自治体がお金を出すのか
背景は無縁墓です。使う人が分からなくなった区画は自治体の負担になります。だから返してもらうためにお金を出します。
総務省行政評価局が2023年9月にまとめた「墓地行政に関する調査」によると、公営墓地や納骨堂を持つ765市町村のうち58.2パーセント(445市町村)で、無縁墳墓とみられる区画が1区画以上ありました。人口30万人以上の市に限ると78.9パーセントに上がります。
同じ調査は、無縁墳墓に気づくきっかけの最多が管理料の滞納で47.6パーセントだったと報告しています。連絡が取れないまま放置された区画が、草に覆われたり墓石が倒れたりして、周りの利用者とのトラブルになる例も挙がっています。
自分の墓が無縁墳墓と判断されるまでに何が起きるかは、墓じまいをしないとどうなるのか|放置した墓と、お金が無いときの順番に書きました。自治体によって、滞納3年程度を目安にするところから10年程度のところまで幅があります。
この調査には、自治体の取り組み例も載っています。
- 鹿児島市は、市営墓地の区画を返して合葬式施設に移る場合、その使用料を全額免除しています。2010年度から2021年度までに466柱の利用がありました
- 苫小牧市は、墓じまいの費用を借りたときの利息と信用保証料に最大5万円を助成する制度を2021年度に作りました。ただし報告書は利用実績がないと記しています
制度は増えていますが、「あるのが普通」という段階ではありません。無い自治体のほうが多いと考えて、確かめてから動くのが確実です。
自分の自治体に制度があるかを調べる
「墓じまい 補助金 ○○市」で検索しても出てこないことがあります。制度の名前が「墓じまい」ではないからです。次の順で当たると早く済みます。横浜市のように「補助金制度はありません」と明記している自治体もあります(横浜で親のお墓を探すなら|市営の新設墓園と納骨堂の募集数・使用料・申込資格)。名古屋市の市営墓地の案内にも補助金は出てこず、撤去工事の費用は名義人の負担です(名古屋で親のお墓・納骨堂を探すなら|合葬式墓地は1体12万円、八事の市営納骨堂は10年2万5,000円。無縁墓の改葬が全国の4割を占める街で確かめること)。
- 市区町村名と「墓地 返還」で検索する。浦安市は「墓所返還者等支援事業」、市川市は「霊園一般墓地返還促進事業」という名前でした。「墓じまい」では引っかかりません
- 自治体サイトの中で、墓地を担当する課のページを開く。制度があれば、市営霊園の案内と同じ場所に置かれています
- 例規集で「墓地」「返還」を引く。多くの自治体は要綱をサイトで公開しています。補助の上限額と対象は要綱に書いてあります
- 金額が分からなければ電話で聞く。制度の案内はあっても、上限額は要綱のPDFにしか書かれていない自治体があります。太田市の八王子山公園墓地がこの形です。募集の時期や残りの枠も電話でないと分かりません
聞くときは「墓じまいの補助金はありますか」より、「市営墓地を返すときの助成制度はありますか」のほうが通じます。自治体側の呼び方に近いためです。
注意:業者が「補助金が使えます」と言ってきたら、制度の名前と上限額をその場で聞いてください。答えられない場合は、自治体に確認するまで契約しないでください。
補助金とは別に、公営墓地を返すと納めた使用料の一部が戻る市もあります。岐阜市は3分の1が戻りますが、実際の額は1件あたり約1万円でした(岐阜で親のお墓を探すなら|市営の合葬墓はいま工事中。市営墓地は返還が申込の2.8倍で、墓じまいすると使用料の3分の1が戻る)。
補助が使えないときに効く3つの手
対象外だった方、制度が無かった方へ。費用を動かす力は、補助金より次の3つのほうが大きいです。
- 納め先を先に決める。合祀の永代供養墓なら5〜30万円、新しい一般墓なら100〜300万円で、10倍近く違います。総額を最も動かすのはここです
- 撤去の見積もりを2社以上から取る。同じ条件でも石材店によって金額が変わります。1社だけでは高いか安いか判断できません
- お布施と離檀料の金額を先に確認する。当日に提示されると断りにくくなります
墓じまいの総額は、鎌倉新書の「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査」(2026年1月、有効回答733件)で31〜70万円が31.3パーセントと最も多く、約半数(48.1パーセント)が70万円以下でした。補助の上限15万円と比べると、納め先の選び方のほうが効くことが分かります。
金額の分布と、高くなる3つの条件は墓じまいの費用はいくら?実際に払った733人の分布と高くなる3つの条件にまとめてあります。
補助とは別に、市営墓地を返したときに納めた使用料の一部が戻る市もあります。21自治体の条例を市営墓地を墓じまいすると、永代使用料は戻るのか|政令市20市と東京都の条例を読むと、古い墓でも戻るのは3市。大阪市は何年たっても6分の1で比べました。
墓じまいの補助金のこと、調べたので共有します。
- 補助金が出るのは、市区町村が運営する公営墓地を返す場合だけです。お寺の墓地や民営霊園は対象外でした
- 金額は、浦安市が上限15万円、市川市は区画によって7.5万〜44万円です
- 予算がなくなると、受付が終わることもあります
- 撤去の契約をする前に、まず市役所の窓口で聞いてみませんか
よくある質問
国の制度はありません。すべて市区町村が独自に作っている制度です。そのため、隣の市にあっても自分の市には無いということが起きます。制度の目的が「その自治体の墓地を返してもらうこと」なので、墓地を持たない自治体には作る理由がありません。
自治体の補助は使えません。寺院墓地は寺が経営しているためです。ただし離檀料や撤去費の金額そのものは交渉の余地があります。見積もりを複数取ることと、離檀料の額を先に確認することのほうが現実的です。
できます。書類は交付申請書、見積書、使用許可証の写しなどで、特別な資格は要りません。石材店が代行を申し出ることもありますが、代行費がかかる場合は自分で出すほうが手元に残ります。
制度によります。浦安市の合葬式墓地(合祀室)は生前予約を受け付けており、金額は35,000円で遺骨を納める場合と同じです。市川市も生前と遺骨をあわせて2体までを対象としています。窓口で「生前の申し込みができるか」を確かめてください。
その年度は無理でも、翌年度に再び募集することがあります。市川市のように予算額で締め切る制度は、年度初めに枠が開くのが一般的です。急がない事情であれば、年度が変わるタイミングで窓口に確認してください。
出典
- 総務省行政評価局「墓地行政に関する調査 -公営墓地における無縁墳墓を中心として-」(令和5年9月)
- 厚生労働省「衛生行政報告例」令和5年度(改葬 166,886件、うち無縁墳墓等の改葬 3,651件)
- 浦安市「墓所返還者等支援事業」
- 市川市「市川市霊園一般墓地返還促進事業」
- 鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査」(2026年1月、有効回答733件)

