手元供養は違法なのか|自宅に置くのは自由、庭に埋めると違反
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墓じまいのあと、全部を納めてしまうのが忍びない。あるいは、まだ決められない。遺骨を手元に置いておくことは、していいことなのか。まずそこから確かめます。
- 自宅で焼骨を保管することに、法律の規定はありません。東京都が公式に答えています
- ただし、庭に埋めるのは違反です。墓地以外の区域への焼骨の埋蔵は禁じられています
- 火葬のときに分骨証明書をもらってください。あとから納骨するときに要ります。葬儀費用の相場と見積書の見方は葬儀費用の相場はいくらか|喪主2,000人の実額、「家族葬50万円」が120万円になる仕組み、自治体の規格葬儀

実家じまい全体の流れと、先に確かめる期限は実家じまいは何から始める?5つの段階と、かかるお金の全体像にまとめています。
自宅に置くことは、法律に規定がない
東京都保健医療局が、公式のよくある質問でこう答えています。
質問は「自宅の仏壇に骨壷に入った焼骨を持っているのですが、墓地や納骨堂に預けなければいけないのでしょうか?」。答えは、こうです。
「墓地、埋葬等に関する法律では、自宅での焼骨の保管については特に規定はありません」
預けなければならない、とは書かれていません。保管そのものについて、法律が何も定めていないということです。
これは海洋散骨と同じ構造です。法律に書かれていないから、禁じられてもいない。詳しくは海洋散骨は違法なのか|法律に無いから、国のガイドラインで見るにまとめました。
注意:「規定が無い」と「何をしてもよい」は違います。次の節がその境目です。
ただし、庭に埋めるのは違反になる
ここを間違える人がいます。
墓地、埋葬等に関する法律の第4条第1項は、こう定めています。「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」
「埋蔵」は、焼骨を土に納めることです。自宅の庭は墓地ではありません。だから、庭に埋めるのは法律違反です。
罰則もあります。第21条第1号は、第4条の規定に違反した者を「二万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処するとしています。
置くのと埋めるのは、法律上まったく別の行為です。なお、この第4条はペットには及びません。動物には墓埋法が適用されないためで、その違いはペットの遺骨を親のお墓に入れられるか|国は「動物に墓埋法は適用されない」と答えている。だから確かめる相手が変わるに書きました。
- 家の中の仏壇や棚に骨壺を置く… 規定が無い。保管にあたる
- 庭に埋める、土に還す… 墓地以外の区域への埋蔵。第4条第1項に違反する
注意:「自然に還してあげたい」という理由でも同じです。土に納めたいなら、樹木葬など墓地の許可を受けた場所を選んでください(樹木葬で後悔する人は何を見落としたのか|契約前に確かめる5つの条件)。

「良くない」と言われることの中身
「遺骨を家に置くと良くない」と聞いて、不安になる人がいます。
法律の話ではありません。前の節のとおり、保管に規定はありません。言われているのは、宗旨の考え方か、家族の気持ちのどちらかです。
宗旨のほうは、宗派で見方が違います。たとえば浄土真宗本願寺派は、公式のQ&Aでこう述べています。「亡き人はお墓の中にいるのではなく、浄土に生まれて仏さまになっておられます」
この考え方に立てば、遺骨がどこにあるかと、故人がどこにいるかは別の話になります。逆に、遺骨のある場所を大切に扱う考え方の宗旨もあります。どちらが正しいという話ではありません。実家の宗旨と菩提寺の考え方は「永代供養」で後悔する前に|宗旨と、菩提寺との関係を確かめるにまとめました。
公営霊園の抽選を待つ間、自宅に置く人もいます(東京の都立霊園は年1回の抽選です。東京で親のお墓を探すなら|都立霊園の倍率・使用料・申込資格を数字で)。
家族の気持ちのほうは、話しておくしかありません。手を合わせに行く場所が自宅になるので、同居していない家族が来にくくなることがあります。決めてから伝えるのではなく、決める前に伝えてください。
分骨のしくみと、証明書を出す相手
全部ではなく、一部だけ手元に残すこともできます。これを分骨といいます。
千葉市は「焼骨の一部を別のお墓に埋蔵したり手元供養したりするため分けることを「分骨」といいます」と説明しています。自治体の案内にも手元供養が出てきます。
証明書のしくみは、施行規則の第5条にあります。
- 第1項… 墓地等の管理者は、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、または収蔵を委託しようとする者の請求があったときは、埋蔵または収蔵の事実を証する書類を交付しなければならない
- 第2項… 分骨を埋蔵・収蔵委託しようとする者は、その書類を納める先の管理者に提出しなければならない
- 第3項… 前2項は火葬場の管理者にも準用する
条文をよく読むと、証明書が要るのは「他の墓地等に納めるとき」です。手元に置くだけなら、法律上この書類は必要ありません。
それでも、もらっておいてください。理由は次の節です。
もらうタイミングは、火葬のとき
あとから納骨するときに、証明書が要ります。
手元供養は「ずっとこのまま」とは限りません。引っ越し、住む人の変化、自分の年齢。いつか納めることになったとき、納骨先から分骨証明書を求められます。そのときに火葬場へ取りに戻るのは手間です。
千葉市の案内が、取り方を具体的に書いています。
- 火葬のときに分ける場合… 千葉市斎場で火葬するなら、事前に火葬場へ申し出て「分骨証明書」をもらう。分骨ごとに300円
- 納骨済みの遺骨を分ける場合(市営の霊園・墓地)… 墓地使用許可証を持参し、管理事務所で「埋蔵・埋葬証明書」の交付を申請する。1件300円。墓地使用者以外が申請するときは、使用者の承諾書が必要
- 民営の霊園・墓地の場合… 現在の墓地管理者に確認する
金額は自治体で違います。ただ、数百円の手数料で済むことが多い書類です。火葬のときにもらうのが、いちばん手間がかかりません。
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自宅で保管するときに決めておくこと
骨壺は、置いておけば済むものではありません。
湿気に注意してください。骨壺の内側に水がたまることがあります。温度差の大きい場所に置くと、結露が起きるためです。窓際、暖房の吹き出し口の近く、押し入れの奥は避けてください。
地震のことも考えてください。仏壇の上段や高い棚に置くと落ちます。割れると、片づけるのに困ります。低い位置で、倒れないところに置いてください。
そして、家族が置き場所を知っていることです。本人しか知らないまま時間が経つと、次に片づける人が困ります。実家の片付けで書類や貴重品を先に抜く話と同じです(実家の残置物は誰が片づけるのか|解体業者に任せられない理由)。

最後をどうするか、決めておく
手元供養は、終わりのある選択です。
自宅にある遺骨は、いずれ誰かが決めることになります。自分が決めないなら、次の世代が決めます。そのときに困らないよう、納め先の候補だけでも決めておいてください。
候補になるのは、この3つです。
- 納骨堂… 屋内の施設。経営に許可が要るので、確かめる書類があります(納骨堂とは何か|許可が要る施設だから、帳簿を見せてもらえる)
- 永代供養墓… 合祀されると取り出せません。個別の期間を先に確かめます(永代供養とは何か|「永代」はずっと個別に置くという意味ではない)
- 散骨… 法律に規定がなく、国のガイドラインが実質の基準です(海洋散骨は違法なのか|法律に無いから、国のガイドラインで見る)。東京・神奈川の海で撒くなら、船の許可・登録と自治体のルールも確かめます(東京・神奈川で海洋散骨をするなら|許可が要るのは船のほう。運輸局の許可・登録と、三浦市・熱海市・伊東市の海のルール)
全部を手元に置くと、この判断がまるごと次の人に渡ります。一部だけ残して、残りは納めておく。そのほうが、渡される側は楽です。
遺骨や仏壇を誰が継ぐかは、遺産分割とは別のルールで決まります(仏壇とお墓は遺産分割の対象外|誰が継ぐかは民法897条で決まる。相続放棄をしても継げます)。
進める順番
- 全部を手元に置くのか、一部だけかを決める
- 火葬のときなら、その場で分骨証明書を頼む。納骨済みなら墓地の管理者へ
- 置き場所を決める。低く、温度差が少なく、家族が知っている場所
- 証明書を、骨壺とは別の場所にしまう
- 最後にどこへ納めるかの候補を決めて、家族に伝えておく
遺骨を家に置くこと(手元供養)について、調べたので共有します。
- 遺骨を自宅に置くことに、法律の決まりはありません(東京都の公式Q&A)
- ただ、庭に埋めるのは法律違反で、2万円以下の罰金などの罰則があります
- 一部だけ手元に残すなら、火葬のときに分骨証明書をもらっておきます(千葉市は300円)。あとで納骨するときに要ります
- 最後にどこへ納めるかも、いまのうちに決めておきたいです。どう思いますか
よくある質問
違法ではありません。東京都保健医療局は「墓地、埋葬等に関する法律では、自宅での焼骨の保管については特に規定はありません」と公式に答えています。ただし、庭に埋めるのは別です。墓地以外の区域に焼骨を埋蔵することは法4条1項が禁じており、21条に罰則があります。
法律の話ではありません。保管に規定はなく、届出も要りません。「良くない」と言われるのは宗旨の考え方か、家族の気持ちのどちらかです。宗派によって見方は違い、浄土真宗本願寺派は「亡き人はお墓の中にいるのではなく、浄土に生まれて仏さまになっておられます」としています。気になるなら、実家の宗旨の寺に聞くのがいちばん早いです。
手元に置くだけなら、法律上は要りません。施行規則5条が交付を義務づけているのは「他の墓地等に納めるとき」です。ただし、あとから納骨する可能性があるなら、もらっておいてください。火葬のときなら、その場で火葬場に頼めます(施行規則5条3項)。千葉市では分骨ごとに300円でした。
温度差による結露が原因になることがあります。まず、置き場所を見直してください。窓際や暖房の近く、押し入れの奥は避けます。中の遺骨をどうするかは、自分で判断せず、火葬場か納骨先の管理者に相談してください。公的な対処法の指針は見当たりませんでした。乾燥の作業を扱う事業者もあります。
遺産分割の対象ではありません。民法897条は、系譜・祭具・墳墓の所有権を「祖先の祭祀を主宰すべき者」が承継すると定めており、遺産とは別扱いです。遺骨の扱いもこの考え方に沿って判断されます。誰が引き継ぐかを決めていないと、話がまとまりません。関連する話は墓じまいをしないとどうなるのか|放置した墓と、お金が無いときの順番にあります。
出典
- 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第4条第1項、第21条第1号
- 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和23年厚生省令第24号)第5条
- 東京都保健医療局「よくある質問(墓地・納骨堂・火葬場)」
- 千葉市「改葬(お墓の引越)、分骨について」(2024年10月15日更新)
- 浄土真宗本願寺派「仏事・行事Q&A」
- 民法(明治29年法律第89号)第897条

