墓じまい(改葬)は2024年度に17万6,105件|都道府県別に見ると、多いのは「お墓が出ていく県」だった
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「墓じまいが増えている」とよく言われます。実際にどれだけ増えていて、どこで多いのか。厚生労働省の衛生行政報告例(令和6年度)の数字を、都道府県別に並べ直しました。
- 2024年度の改葬(遺骨を別のお墓や納骨堂へ移すこと)は、全国で17万6,105件でした。前年度の16万6,886件から5.5%、3年前の11万8,975件から48.0%増えています
- 件数が多いのは北海道(14,628件)、東京都(12,982件)、大阪府(10,376件)です。ただし東京都は前年度から13.2%減りました
- 火葬100件あたりの改葬件数で比べると、長崎県32.5件、山口県23.4件、鹿児島県22.2件が上位です。東京都9.1件、大阪府8.8件、愛知県8.2件は全国の10.6件を下回ります

前年度との差:全国は5.5%増、47都道府県のうち13で減った
全国では増え続けていますが、すべての地域で増えているわけではありません。
- 2021年度… 118,975件
- 2023年度… 166,886件
- 2024年度… 176,105件
2023年度から2024年度にかけて、34都道府県で増え、13県で減りました。
増えた件数が大きかったのは、大阪府(1,709件増、19.7%増)、北海道(1,680件増、13.0%増)、埼玉県(1,401件増、25.7%増)、愛知県(1,365件増、24.2%増)、鹿児島県(1,240件増、28.2%増)です。石川県は1,259件から2,199件へ、74.7%増えました。
減ったのは、東京都(14,950件→12,982件、13.2%減)、沖縄県(4,983件→3,621件、27.3%減)、宮崎県(18.4%減)、熊本県(16.0%減)などです。件数で全国2番目の東京都が、1年で約2,000件減っています。
統計は、増えた理由も減った理由も示していません。確かなのは、「墓じまいは全国一律に増えている」とは言えない、ということです。
減った県の中でも、沖縄県は4,983件から3,621件へと大きく動きました。前の年度が、旧暦でうるう月のある「ユンヂチ」で、墓じまいが集中した年だったためです(沖縄・那覇で墓じまいするなら|改葬は全国の約3倍。那覇市民共同墓は1体3万円で随時受付、個人の墓は「地図」で申請できる)。

件数ではなく「火葬100件あたり」で並べ直す
件数の多い順は、人口の多い順にかなり近くなります。そこで同じ表にある火葬の件数(死体の火葬数)を分母にして、火葬100件あたりの改葬件数を出しました。
- 長崎県… 32.5件(改葬6,656件)
- 山口県… 23.4件(4,752件)
- 鹿児島県… 22.2件(5,633件)。鹿児島市だけだと18.4件で、市営の合葬墓は1柱3万8,000円です(鹿児島で親のお墓・納骨堂を探すなら|市営合葬墓は1柱3万8,000円。ただし民営と市外からの改葬は受けない)
- 沖縄県… 20.8件(3,621件)
- 北海道… 18.8件(14,628件)
- 全国… 10.6件
- 東京都… 9.1件、大阪府… 8.8件、愛知県… 8.2件
- 最も低いのは福井県… 2.3件(242件)
埼玉・千葉・東京・神奈川、岐阜・愛知・三重、京都・大阪・兵庫・奈良の三大都市圏11都府県を合わせると、火葬100件あたり9.5件です。それ以外の36道県は11.6件でした。
注意:これは厳密な割合ではありません。改葬の件数は許可を出した市区町村の所在地で、火葬の件数は火葬した場所で集計されています。亡くなった人の住所とは一致しません。県どうしの傾向を見るための目安として読んでください。
市の単位では、長崎市が火葬100件あたり56.2件で、全国の5.3倍でした(長崎で親のお墓を探すなら|墓じまいは火葬100件に56件で全国の市で最多。市営の合葬墓は無く、市営墓地の空きは22区画)。
県の数字と県庁所在地の数字が大きく違うこともあります。愛媛県は12.3件ですが、松山市は4.8件でした(松山で親のお墓を探すなら|市営の合葬墓は無く、市営墓地の貸付は1年で半分に。使用料48万円・管理料なし、本籍が松山なら市外の子も申し込める)。
この数字から分かること
墓じまいが多いのは「人が多い都市」ではなく、「お墓が出ていく県」です。政令市で見ると、いちばん少ないのは相模原市の2.06件、次が新潟市の2.39件でした(新潟で親のお墓を探すなら|市営の募集は15区画だけ。墓じまいの移転先は太夫浜霊苑の合同埋蔵1体16万円)。相模原市の市営墓地は、ほかの墓からの改葬を目的とした申込みを受け付けていません(相模原で親のお墓を探すなら|市営の合葬墓は1.2倍で入りやすい。ただし墓じまいで移す遺骨は申し込めない)。
多いほうでは、川崎市が火葬100件あたり約13件で、隣の横浜市(約7件)の2倍近くありました。川崎市は市内の墓地が194か所と、横浜市(2,651か所)の7%しかありません(川崎で親のお墓を探すなら|市営の合葬型は遺骨ありで2倍以下、生前2体は17.7倍。市営墓地から移すなら随時・3万550円)。静岡市も火葬100件あたり14.0件で、同じ県の浜松市(4.0件)の3.5倍ありました(静岡で親のお墓を探すなら|市営に合葬墓・樹木葬は無い。受け皿は愛宕霊堂の永年10万6,790円、市外に住む子も申し込める)。反対に熊本市は5.7件で、全国の半分ほどです(熊本で親のお墓を探すなら|市営に合葬墓は無く、管理料はゼロ。熊本地震で墓石が壊れた区画は54%、修理は全額自己負担だった)。福岡県では、北九州市が7.5件で、福岡市(3.6件)の2倍でした(北九州で親のお墓を探すなら|市立霊園に合葬墓・永代供養は無い。納骨堂は517施設で政令市最多、受け皿は寺院)。浜松市は4.0件で、同じ県の静岡市の3分の1以下でした(浜松で親のお墓を探すなら|市営墓所の倍率は7年で5.9倍から1.6倍に。合葬する市の納骨堂は残り2,556体)。
改葬の許可は、いま遺骨が納められているお墓がある市区町村が出します。つまり改葬の件数は、お墓を「送り出す側」の数です。移した先がどこかは、この統計には出てきません。
その前提で見ると、火葬100件あたりの上位は、長崎・山口・鹿児島・沖縄・北海道です。東京・大阪・愛知は全国平均を下回り、三大都市圏をまとめても、それ以外の地域より低くなります。件数では東京と大阪が上位に来ますが、それは人口が多いからで、お墓が出ていく勢いでは地方の県のほうが強い、というのがこの表の読み方です。
反対の読み方もあります。県によってお墓のあり方(納骨堂の多さ、共同墓地の慣習など)が違い、改葬として手続きされる場面の数そのものが違う、という読み方です。北海道は納骨堂が1,846施設で全国2位(厚生労働省、2024年度末)で、納骨堂どうしの移動も改葬に数えられます。それでも、長崎・山口・鹿児島のように人口規模の違う県が並んで上位に来ることは、お墓の形の違いだけでは説明しにくいと考えます。
もう一つ、無縁墳墓等の改葬(縁故者が分からない墓の遺骨を移すこと)は、全国3,006件のうち名古屋市が1,248件(41.5%)でした。この数字は名古屋で親のお墓・納骨堂を探すなら|合葬式墓地は1体12万円、八事の市営納骨堂は10年2万5,000円。無縁墓の改葬が全国の4割を占める街で確かめることで詳しく書きました。
全国で増えていても、市の単位では減っているところがあります。和歌山市の改葬は、3年前の719件から517件に減りました(和歌山で親のお墓を探すなら|市営の合葬墓・納骨堂は無い。市営の今福霊園は1区画45万円で、貸出は目標の4分の1まで減った)。
実家のお墓が上位の県にある人が、今日やること
移す先(受け入れ先)の募集時期と申込資格を、先に調べてください。
改葬の許可は実家のある市区町村に出しますが、申請書には改葬の場所を書くので、移す先が決まっていることが前提です。自治体によっては、移す先の受入証明書も求められます。そして都市の公営墓地は、募集が年1回だったり、居住年数の条件があったり、受入れの上限が近づいていたりします。
- 東京都の都立霊園… 年1回の抽選。合葬・樹林型は申込者が都内に3年以上住んでいることが条件(東京で親のお墓を探すなら|都立霊園の倍率・使用料・申込資格を数字で)
- 横浜市の市営墓地… 毎年9月に募集(横浜で親のお墓を探すなら|市営の新設墓園と納骨堂の募集数・使用料・申込資格)
- 大阪市の合葬式墓地… 1体5万円で通年・先着順(大阪で親のお墓を探すなら|市設霊園の合葬式墓地は1体5万円。倍率・使用料・申込資格を数字で)
- 札幌市の合同納骨塚… 1体9,100円。ただし2027年度に受入れの上限に達する見込み(札幌で親のお墓・納骨堂を探すなら|合同納骨塚は1体9,100円。納骨堂256施設の見分け方と、市営霊園の管理料6,800円・今年の減免期限)
- 京都市の深草墓園… 納骨堂は随時受付で1体2万円から。樹木型は年度600体が上限(京都で親のお墓・納骨堂を探すなら|市の深草墓園は納骨2万円・樹木型18万円。墓じまいが政令市で2番目に多い街で確かめること)
- 神戸市の鵯越合葬墓… 1体5万円で通年募集・上限なし。市立墓園の墓じまいからの改葬は半額(神戸で親のお墓・納骨堂を探すなら|市は一般墓の新規募集をやめた。鵯越合葬墓は5万円、墓じまいからの改葬は半額)
出す側の改葬許可は、書類がそろえば1週間程度みておけば足ります。時間がかかりやすいのは、受け入れる側の枠を取るほうです。改葬許可の申請の流れは墓じまいの手続きはどこへ出す?改葬許可の流れと必要書類にまとめました。
移す先の枠を取るのと並行して、いまのお墓の撤去の見積もりも取っておくと、総額が早く見えます。撤去の費用は石材店ごとに違うので、複数の見積もりで比べてください。見積もりを取っても契約の義務はありません。
出典
- 厚生労働省「衛生行政報告例」令和6年度 第6表「埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数,都道府県-指定都市-中核市(再掲)別」(2024年度)、令和5年度・令和3年度の同表
- 厚生労働省「衛生行政報告例」令和6年度 第5表「墓地・火葬場・納骨堂数,経営主体・都道府県-指定都市-中核市(再掲)別」
- 火葬100件あたりの改葬件数、三大都市圏とそれ以外の比較、前年度との差は、上記の表から実家ほどきが計算したもの

