永代供養とは何か|「永代」はずっと個別に置くという意味ではない
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墓じまいのあと、遺骨をどこへ納めるか。最も多く選ばれているのが永代供養墓です。ただし「永代」という言葉が、思っている意味とは違うことがあります。
- 「永代供養」は法律上の言葉ではありません。墓地埋葬法にも施行規則にも出てきません
- 「永代」は「ずっと個別に置く」という意味ではありません。公営では個別の期間が10年から20年です
- 合祀されたあとは取り出せません。神戸市は「合葬施設へ納骨された遺骨は返還できません」と明記しています

実家じまい全体の流れと、先に確かめる期限は実家じまいは何から始める?5つの段階と、かかるお金の全体像にまとめています。
「永代供養」は法律に出てこない言葉
確かめてみると、法令のどこにも書かれていません。
墓地、埋葬等に関する法律にも、その施行規則にも、「永代供養」という語は登場しません。法律が定義しているのは「墳墓」「墓地」「納骨堂」「火葬場」といった施設と、埋葬・火葬・改葬という行為です。
つまり「永代供養」は、施設や寺院が使っている呼び名です。法律で中身が決まっているわけではないので、同じ言葉でも施設によって内容が違います。
これが混乱の出発点です。パンフレットに「永代供養」と書いてあっても、それだけでは何も分かりません。使用規則と契約書を見るまで、条件は分かりません。「永代供養塔」という呼び名も同じで、公営の募集案内には一つも出てきません(永代供養塔とは何か|公営はどこも「永代供養塔」と呼んでいない。同じ中身が20通りの名前で案内されている)。
鎌倉新書が2026年に733人へ行った調査では、墓じまいのあとの移し先として永代供養墓(合祀・合葬)が43.2パーセントで1位でした。2位が樹木葬の24.1パーセント、3位が新しい一般墓の14.3パーセントです。最も多くの人が選ぶ選択肢だからこそ、中身を確かめる価値があります。

「永代」は「ずっと個別」という意味ではない
多くの施設では、個別に置かれる期間が決まっています。期間が終わると、他の人の遺骨と一緒に納められます。これが合祀です。
公営の合葬墓を見ると、期間の設定がはっきり書かれています。
- 神戸市(鵯越合葬墓)… 個別安置施設は許可日から10年間。その後は合葬施設に埋蔵されます。50,000円で10年間の延長ができるので、最長で20年です
- 八千代市(市営霊園)… 納骨壇の利用期間は許可日から起算して20年まで。「利用期間経過後は、地下の合葬室に合祀します」と明記されています
- 仙台市(いずみ墓園)… 合葬式墓所の「10年保管後合葬」は、個別埋蔵室に10年間安置してから合同埋蔵室へ。直接合葬より4万2,000円高くなります(仙台で親のお墓を探すなら|2026年10月1日から随時申込みに。いずみ墓園の合葬式は4万7,400円、市営墓地を返す人はもっと安い)
20年という区切りが多く見られます。申し込んだ本人が生きているうちに期間が終わることもあります。
注意:「永代供養だから、ずっとそのままにしてもらえる」という理解は誤りです。永代にわたって供養する、という約束であって、遺骨を永代にわたって個別に置く、という約束ではありません。ここを確かめずに契約したことが、後悔として語られている中身です。
合祀されると、遺骨は返らない
これが最も戻せない部分です。合祀墓そのもの(読み方・遺骨の扱い・公営7都市の使用料9,100円〜12万円)は合祀墓とは何か|読み方、遺骨はどうなるか、永代供養との違い、公営7都市の使用料(9,100円〜12万円)に書きました。
神戸市は、個別安置施設について「個別安置施設の許可期間内であれば、返還できます」としています。一方で合葬施設については「合葬施設へ納骨された遺骨は返還できません」と明記しています。
期間内なら取り出せるが、合祀されたら取り出せない。この線引きを知らないまま契約すると、次のような場面で困ります。
- 数年後に子どもが「やはり近くへ移したい」と言い出した
- 一緒に納めるつもりだった配偶者が、別の方式を希望した
- 引っ越しで、通える距離が変わった
取り出す可能性が少しでもあるなら、個別安置の期間がある施設を選び、その年数を確かめてください。最初から合祀される施設を選ぶなら、費用は下がりますが、後戻りはできません。
さらに戻せないのが散骨です。撒いた時点で遺骨は返りません。法的な位置づけと業者の選び方は海洋散骨は違法なのか|法律に無いから、国のガイドラインで見るにまとめました。
同じ論点は樹木葬にもあります。埋蔵の仕方によって取り出せるかどうかが変わる話は樹木葬で後悔する人は何を見落としたのか|契約前に確かめる5つの条件にまとめています。

費用は公営で3万5,000円から
公営の合葬墓・合祀室の使用料は、公表されています。遺骨1体あたりで並べます。
- 浦安市 合葬式墓地(合祀室)… 35,000円。生前予約も同額
- 市川市 合葬式墓地… 1体71,000円、2体142,000円
- 神戸市 個別安置施設… 100,000円(10年間)。延長は50,000円で10年間
- 八千代市 納骨壇(20年)… 1体110,000円、2体220,000円。毎年の管理料はかかりません
新潟市では、受け皿が市役所の外にあります。市営墓地に合葬式も樹木葬もなく、市の外郭団体が管理する太夫浜霊苑の合同埋蔵(1体16万円)が実質の選択肢です(新潟で親のお墓を探すなら|市営の募集は15区画だけ。墓じまいの移転先は太夫浜霊苑の合同埋蔵1体16万円)。
さいたま市も同じ形です。樹林型合葬式墓地(最初から納骨袋)が1体10万円、20年間は骨壺のまま保管する合葬式墓地が1体用14万円で、差は4万円です(埼玉で親のお墓を探すなら|さいたま市営の樹林型は1体10万円。合葬式は20年骨壺のまま、違いは「個別の期間と名前」)。
最初から合祀される形が最も安く、個別に置く期間があるほど高くなります。これは施設の手間がそのまま金額に出ているためです。
注意:これらは公営の例です。民営霊園や寺院の永代供養墓は別の料金体系で、年間管理料がかかる施設もあります。「使用料だけを見て安いと判断しない」ようにしてください。
墓じまいの総額と、次の納め先による違いは墓じまいの費用はいくら?実際に払った733人の分布と高くなる3つの条件にまとめています。総額を最も動かすのは、次にどこへ納めるかです。
合葬せずに1体ずつ骨壺で預かる公営の施設もあります。奈良市の市営納骨堂は期限がなく、1体8万円です(奈良で親のお墓を探すなら|市営の納骨堂は1体8万円で期限なし。親が奈良市民だったなら、市外に住む子も同じ8万円で申し込める)。
申し込みには資格がある
公営は、誰でも申し込めるわけではありません。東京の都立霊園の資格と倍率は東京で親のお墓を探すなら|都立霊園の倍率・使用料・申込資格を数字でに、横浜市営の募集は横浜で親のお墓を探すなら|市営の新設墓園と納骨堂の募集数・使用料・申込資格に、大阪市の合葬式墓地(1体5万円・先着順、親が大阪市民だった遺骨なら市外の子でも可)は大阪で親のお墓を探すなら|市設霊園の合葬式墓地は1体5万円。倍率・使用料・申込資格を数字でに具体的に書きました。
神戸市は申込みの資格として「神戸市に引き続き6か月以上住民登録されている方」などを挙げています。八千代市は焼骨所持者について「本市に1年以上居住しており、住民基本台帳に記録されていること」としています。
生前の申し込みを、そもそも受けない市もあります。鹿児島市の合葬墓は生前予約を対象外としており、申し込めるのは焼骨を持っている人だけです(鹿児島で親のお墓・納骨堂を探すなら|市営合葬墓は1柱3万8,000円。ただし民営と市外からの改葬は受けない)。
生前の申し込みにも条件があります。神戸市も八千代市も、生前申込は65歳以上などの年齢要件を設けています。神戸市の生前申込は合葬施設のみで、個別安置施設には申し込めません。
実家が遠方の場合、その自治体の公営墓地には申し込めないことがあります。遺骨を自分の住む市へ移したい場合も、居住要件を満たすのは自分のほうなので、確認が必要です。
募集の時期も限られます。年に1回や2回の募集で、抽選になる施設もあります。思い立ってすぐ納められるとは限りません。
資格の決め方は自治体で違います。静岡市の愛宕霊堂は、亡くなった人が静岡市民だったなら、市外に住む子も永年収蔵に申し込めます(静岡で親のお墓を探すなら|市営に合葬墓・樹木葬は無い。受け皿は愛宕霊堂の永年10万6,790円、市外に住む子も申し込める)。
亡くなった人ではなく、申し込む人の住所を基準にする市もあります。那覇市民共同墓は、申し込む人が那覇市に住んでいることが基本です(沖縄・那覇で墓じまいするなら|改葬は全国の約3倍。那覇市民共同墓は1体3万円で随時受付、個人の墓は「地図」で申請できる)。
納骨堂・樹木葬との違い
言葉の並びが違います。ここを整理すると、比較しやすくなります。樹木葬の仕組みと型、費用の実額は樹木葬とは何か|仕組み・3つの型・費用の実額と、永代供養との違いを国の約款で読むにまとめました。
納骨堂は、法律で定義された施設です。墓地、埋葬等に関する法律の第2条第6項は、納骨堂を「他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設」としています。建物の中に遺骨を収蔵する施設を指します。
樹木葬は、埋蔵の形式を指す呼び名です。法律用語ではありません。
永代供養は、施設の種類ではなく供養のしかたについての約束です。だから「永代供養付きの納骨堂」も「永代供養の樹木葬」も成り立ちます。
つまり、三つは同じ軸の言葉ではありません。「納骨堂と永代供養、どちらがいいか」という比べ方は成り立たないということです。納骨堂そのものの決まりと、経営が続くかを契約前に確かめる方法は納骨堂とは何か|許可が要る施設だから、帳簿を見せてもらえるにまとめました。納めずに自宅へ置いておく場合の扱いは手元供養は違法なのか|自宅に置くのは自由、庭に埋めると違反にあります。比べるなら、次の4点で並べてください。
- 個別に置かれる期間は何年か
- 期間が終わったらどうなるか
- 取り出せるか、いつまで取り出せるか
- 年間管理料があるか
公営の樹木葬は数が限られます。都立小平霊園の樹林墓地は14倍を超える倍率のまま、2020年度で募集を終えました(小平霊園の樹木葬は、今は申し込めない|樹林墓地は2020年度、樹木墓地は2022年度が最後。都立の樹林型は多磨・雑司ケ谷に移った)。
寺に頼む場合と、霊園に頼む場合
頼む相手によって、確かめる相手も変わります。
寺の永代供養墓は、その寺が管理します。檀家であるかどうかで条件が変わることがあり、宗派の作法も関わります。法要をいつ、何回行うのかを聞いてください。「永代」と言っても、実際には三十三回忌や五十回忌までと区切っている寺があります。
注意:宗旨によっては「永代供養」という言い方をしません。浄土真宗本願寺派は「こちらから善を振り向ける必要はない」としており、本山に納める道もあります。宗旨と菩提寺の話は「永代供養」で後悔する前に|宗旨と、菩提寺との関係を確かめるにまとめました。
民営霊園の永代供養墓は、宗教法人や公益法人が経営し、実際の運営を石材店などが担っていることがあります。宗派を問わない施設が多く、申し込みの資格も緩やかです。その代わり、年間管理料がかかる施設があります。
公営の合葬墓は、この記事で挙げてきたとおり、居住要件と募集の時期に制約があります。その代わり費用は低く、条件が公表されています。
寺によっては、受け入れそのものに制限があります。大阪の一心寺は2021年1月1日から納骨の受け入れを制限し、小骨壺(直径9cm・高さ11cm以下)1霊1壺のみで、墓じまいで取り出した遺骨(改葬)は受けていません(一心寺と四天王寺に納骨するには|一心寺は墓じまいの遺骨を受けられない。大阪で「納骨だけ」を頼む前に確かめること)。
ペットと一緒に入りたい場合は、もう一つ確かめることがあります。墓埋法は動物に適用されないので、可否はその墓地の規則しだいです(ペットの遺骨を親のお墓に入れられるか|国は「動物に墓埋法は適用されない」と答えている。だから確かめる相手が変わる)。
どれを選ぶにしても、聞くことは同じです。個別の期間、期間後の扱い、取り出せるか、管理料の4つです。相手が寺でも霊園でも、この4つを書面で確かめてください。
注意:「永代供養料」と「管理料」は別の名目です。永代供養料を一括で払えば以後の支払いが無い施設もあれば、別に管理料が続く施設もあります。合計でいくらになるかを聞いてください。
公営に永代供養が無い市もあります。北九州市は「市立霊園では永代供養は行っていません」とし、継ぐ人がいない人には民間霊園などを案内しています(北九州で親のお墓を探すなら|市立霊園に合葬墓・永代供養は無い。納骨堂は517施設で政令市最多、受け皿は寺院)。
墓じまいとの違い
墓じまいは行為、永代供養は納め先です。
墓じまいは、いまのお墓を撤去して更地に戻し、墓地を返還することを指します。取り出した遺骨をどこへ移すかは別の判断で、その移し先の候補のひとつが永代供養墓です。
手続きの面では、遺骨を別の墓地や納骨堂へ移すので改葬にあたります。市区町村の改葬許可が必要です。申請先は移す先ではなく、いまお墓がある市区町村です。
- 手続きと書類は墓じまいの手続きはどこへ出す?改葬許可の流れと必要書類
- 補助が使えるかは墓じまいに補助金はある?対象になるのは公営墓地の返還だけ
「墓じまいをしないで永代供養にする」という言い方も見かけますが、いまのお墓を残したまま永代供養を頼む場合と、撤去して別の場所へ移す場合では、費用も手続きも変わります。どちらの話をしているのかを、業者との会話で確かめてください。
いまのお墓を撤去して永代供養墓へ移す場合、撤去の工事は石材店に頼みます。費用は石材店ごとに違うので、複数の見積もりで比べてください。見積もりを取っても契約の義務はありません。
墓石の墓から永代供養へ移る動きは、自治体の資料にも出ています。松山市は、市営墓地の貸付が1年で半分になった理由を「永代供養墓など新しい形の埋葬が増え」たためと書いています(松山で親のお墓を探すなら|市営の合葬墓は無く、市営墓地の貸付は1年で半分に。使用料48万円・管理料なし、本籍が松山なら市外の子も申し込める)。
永代供養のこと、調べたので共有します。
- 「永代供養」は法律の言葉ではなく、中身は施設ごとに違います
- 「永代」は、ずっと個別に置いてもらえるという意味ではありません。公営では個別の期間が10年から20年で、そのあとは合祀されます
- 合祀されたあとは、遺骨を取り出せません
- 契約の前に、期間・期間のあとどうなるか・取り出せるか・管理料の4つを書面で確かめたいです
- 候補があれば、その4つを一緒に見ませんか
よくある質問
管理や承継の負担は減ります。ただし永久に個別で置かれるわけではありません。多くの施設では期間が終わると合祀されます。その点を子どもに伝えておかないと、あとで「聞いていない」となります。決める前に共有してください。
言葉の使い分けは施設によります。他の人の遺骨と一緒に納めるという点では同じ意味で使われることが多くあります。大事なのは呼び名ではなく、個別に置かれる期間があるかどうかです。書面で確かめてください。
公営では、浦安市の合祀室が35,000円、八千代市の納骨壇(20年)が1体110,000円です。最初から合祀される形が最も安く、個別の期間があるほど高くなります。民営や寺院は別の料金体系で、年間管理料がかかる施設もあります。
個別安置の期間内なら移せる施設があります。神戸市は「個別安置施設の許可期間内であれば、返還できます」としています。ただし合祀されたあとは取り出せません。移す可能性があるなら、期間のある施設を選んでください。
通える距離を優先してください。墓じまいの理由の1位は「お墓が遠方にある」で52.0パーセントでした。遠くて通えないから墓じまいをした人が、次に選んだ場所もまた遠かった、というのでは同じことの繰り返しになります。ただし公営には居住要件があるので、申し込めるかを先に確認してください。
出典
- 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第2条。「永代供養」の語は同法および同法施行規則に規定がないことを確認
- 神戸市「合葬式墓地(鵯越合葬墓)」
- 八千代市「合葬式墓地の利用申込」
- 浦安市「墓所返還者等支援事業」/市川市「市川市霊園一般墓地返還促進事業」
- 鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査」2026年1月(有効回答733件)

